2019 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉転換(EMT)に伴うOXPHOS活性亢進機序の解明
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19K23877
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
半田 悠 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (00844721)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / ミトコンドリア / OXPHOS |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性新生物に代表される癌による死者数を一層減らすためには,癌の生物特性に関する深い理解が必須である。 癌の悪性度進展に伴い獲得される,浸潤転移能や免疫逃避能には,元来正常細胞で発見された上皮間葉転換(EMT)が深く関与することが知られている。本研究では,ミトコンドリアの機能や動態がEMTで制御されるメカニズムを解明することを目的としている。すでにEMTの誘導前後で発現変動するタンパク質を同定しているため,本研究ではそのタンパク質と電子伝達系による酸化的リン酸化への関連を調べると同時に,EMT誘導前後におけるミトコンドリア動態や,ミトコンドリア内代謝産物に対する影響を調べる。 2019年度は,注目しているタンパク質のノックダウン,過剰発現を行った細胞種の樹立,およびEMT誘導下での酸化的リン酸化解析を行った。さらに,細胞内機能だけではなく,運動能など細胞としての機能評価を行った。その結果として,注目タンパク質の動態を変化させると,酸化的リン酸化機能に影響がでることが観測された。また,酸化的リン酸化の機能亢進にはミトコンドリア呼吸鎖複合体のアッセンブリが進むことが広く知られているため,これに関しても解析を行った。。 今後の計画として,注目タンパク質の機能部分を変異させたタンパク質を発現させる細胞株の樹立を行い,実際にこのタンパク質がどのように酸化的リン酸化活性を制御しているのかを,生化学的手法を用いて解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EMT誘導前後における注目タンパク質の動態を変化させることにより,それまで観測していたOXPHOS機能亢進に影響を与えることを確認できた。また,生化学的な手法を用いてOXPHOS活性に必要なミトコンドリア呼吸鎖複合体のアッセンブリを解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,前年度に樹立した細胞株を用いて,細胞内ミトコンドリア形状の評価を行う。さらに,注目タンパク質の変異体を作成することで,このタンパク質とEMT誘導によるOXPHOS機能亢進の関連を生化学的に調べ,そのメカニズム解析を行う。
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Causes of Carryover |
2020年2月から3月にかけた北海道地方における新型コロナ感染症対策を受け,細胞培養や遺伝子導入実験等にずれが生じ,培養日程等を再度調整する必要が出たためである。 再度日程を計画し,随時執行していく予定である。
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