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2019 Fiscal Year Research-status Report

Acceleration of cecal tumorigenesis in AhR-deficient mice by the alternation of gut microbiota.

Research Project

Project/Area Number 19K23883
Research InstitutionShinshu University

Principal Investigator

的場 久典  信州大学, 医学部, 特任助教 (10849277)

Project Period (FY) 2019-08-30 – 2021-03-31
KeywordsAhR / 炎症性発癌 / B. fragilis (ETBF)
Outline of Annual Research Achievements

Aryl hydrocarbon receptor (AhR)は、ダイオキシン類などの芳香族炭化水素の受容体として働き、核内に移行して転写因子として機能する分子である。近年、AhRノックアウト(KO)マウスの回盲部に大腸炎を伴いながら腫瘍が自然に発生することが示された。本研究は、この腫瘍発生に対する腸内細菌叢の影響、特にEnterotoxigenic Bacteroides fragilis (ETBF) の感染が腫瘍発生を促進するか否かを解析することを目的とする。
最初に、AhR KOマウスを死亡させずにETBFを感染させる方法を確立するため、1) AhR KOマウスへの少ない菌数(10^6-10^7個)のETBFの投与、2) ETBFを大量投与(10^8-10^9個)した野生型マウスと無感染AhR KOマウスとのco-housingによる共感染、の2つの実験系により解析を行った。しかし、少ない菌数の投与では感染は確認されなかった。また、共感染では、投与対象の大多数の野生型マウスの便からETBFを検出することができず、AhR KOマウスに共感染させることができなかった。
予備的な解析によりETBFの腸管への定着は確認済みのため、野生型マウスおよびAhR KOマウスにETBFの大量投与(10^8-10^9個)を試みたところ、AhR KOマウスでは7-8割程度に定着するが野生型マウスでは定着はまれであり、感染効率に差があることが分かった。また、この解析の過程では大量投与を行ったAhR KOマウスが必ずしも短期間で死亡しないことが明らかになった。
以上の結果から、中等量~大量のETBFの直接投与を試みたところ、特にAhR KOマウスでは感染は確認されたが、投与量および頻度に応じて定着の程度に差があることが明らかになった。今後はこの実験系を用いて解析を進める予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上述の様に、当初はETBFの少量投与および共感染によりAhR KOマウスを死亡させずにETBFを感染させる実験系を確立する予定だったが、少量投与ではETBFの定着は難しく、また共感染の投与対象となる野生型マウスへの定着もまれであるという結果となった。しかしながら、ETBFの大量投与によってもAhR KOマウスが必ずしも短期間で死亡するわけではないことが明らかとなったため、ETBFの直接大量投与法を用いて研究を進めることとし、AhR KOマウスに安定してETBFを感染させる実験系を確立することができた。
現在は、(1) 10^8個程度のETBFを2週間に1回投与、(2)10^9個程度のETBFを6週間に1回投与、(3)10^9程度のETBFを2週間に1回投与、の3段階の菌数・頻度での投与の実験系による解析を進めている。(1), (2), (3)ともAhR KOマウスへのETBFの感染が確認されたが、(1)では限定的であり、また(3)と比較して(2)では投与のインターバルでの菌量の低下が大きかった。(1)について投与後20週の時点で腸管を採取し、解析したところ、4匹のAhR KOマウスの回盲部に肉眼的に明らかな病変は認めなかったが、組織学的には4匹中2匹で好中球浸潤を認めた。ETBFの投与により回盲部において炎症反応が促進されていることを示唆する結果と考えられるが、腫瘍発生という意味では(1)の実験系での投与の効果は限定的であるため、今後はより大量・高頻度の投与である(2)・(3)の実験系を用いて解析を進める予定である。
以上より、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

当面はAhR KOマウスへのETBFの直接大量投与という方法を用いて研究を進める予定であり、この方法で病変の発生が促進されることが確認されれば、その機序や形態学的な変化について解析していく予定である。しかし、この方法による効果が限定的な場合は、以下のような方法をとることを考えている。
(1)現在は10回投与・20週経過後にサンプル採取を行っているが、30-50週で行う。
(2)最初に抗生物質を投与して他の菌を減少させてからETBFを投与する。
(3)大腸癌の発症に関与する他の菌を投与する。
(1)は、感染後20週の段階ではETBFの感染の効果は限定的であるが、長期経過すれば効果がより明瞭になるという考えに基づいている。20週経過の時点で劇的に腫瘍発生が促進されないまでも、非感染マウスとの差が見られれば、さらに感染後の時間を延ばすことで、より大きな変化が観察される可能性が高いと考えられる。(2)は、他の腸内細菌を減少させETBFの定着を促進することに加えて、本施設のマウスに常在している腸内細菌の中に腫瘍発生を抑制する菌が存在する可能性を考え、これらの菌を減少させることにより、より大きな効果を得るという考えに基づいている。ただし、抗生物質の投与により少なくとも一時的に菌の総量を減少させることになるので、炎症反応・腫瘍発生を促進させるためには逆効果になる可能性も残る。(3)は、以前の研究においてETBF以外の数種類の菌を投与し、便DNAのPCRで特異的に検出する実験系を確立したが、便DNAから菌が検出され定着が確認できたものはなかった。ETBF投与の効果が見られない場合、大腸癌の発症に関与する他の菌についてさらに検討し、投与に使用することを試みる。

Causes of Carryover

これまでに、当初予定していたETBFの少量投与および共感染の実験系が成立しないことがわかったため、直接大量投与に方法を変更しているが、この経過では実験系の成立・不成立を示すデータは明瞭であり、条件検討に際して用いたマウスの数が最小限に抑えられたことが一因と考えられる。また、上記の解析の過程で必要な試薬・消耗品が予定よりも安価に購入することができたことも挙げられる。 今後は、実際に病変の発生が促進された場合に、その解析に必要な試薬・機材などを購入し、また腸内細菌叢の解析やエクソーム解析などの網羅的な解析を行うことも視野にいれて研究を進める予定である。

使用計画
試薬類 400,000円、プラスチック器具等 100,000円、動物飼育費 400,000円、論文投稿・掲載費用 100, 000円、共通機器使用料 100,000円、エクソーム解析費用 600,000円、腸内細菌叢の解析の費用 500,000円 合計 2,200,000円

  • Research Products

    (2 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Cecal tumorigenesis in aryl hydrocarbon receptor-deficient mice depends on cecum-specifc mitogen-activated protein kinase pathway activation and inflammation2020

    • Author(s)
      Matoba H, Takamoto M, Fujii C, Kawakubo M, Kasuga E, Matsumura T, Natori T, Misawa K, Taniguchi S, and Nakayama J
    • Journal Title

      The American Journal of Pathology

      Volume: 190 Pages: 453-468

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.ajpath.2019.10.005

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Cecal tumorigenesis in AhR-deficient mice depends on cecum-specific MAPK act ivation and inflammation2020

    • Author(s)
      的場久典、高本雅哉、藤井千文、川久保雅友、春日恵理子、松村富穂、名取達矢、三沢健、谷口俊一郎、中山淳
    • Organizer
      第109回日本病理学会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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