2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規子宮体癌治療としてのFolate Receptor α標的治療の開発
Project/Area Number |
19K23886
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原賀 順子 岡山大学, 大学病院, 助教 (30815692)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2020-03-31
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Keywords | 子宮体癌 / Folate Receptor α |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,子宮体癌の新規治療標的としてのFolate receptor-α(FRα)の有用性を検証する目的で遂行している.本年(令和元年度)は目的①「子宮体癌におけるFRα発現と分子学生物学的・臨床的特徴の検討による,FRα標的治療の有用性の検証」について研究を行った.免疫組織化学にて子宮体癌98症例について検証した.発現強度は先行論文を参考に判定した.弱い発現(absent/weak)を示した症例は57例(58.2%),強い発現(moderate/strong)を示した症例は41例(42.8%)認め,その割合は既存の報告と同様であった.臨床病理学的因子との関連については,年齢(70歳以上,70歳未満),組織型(類内膜癌,非類内膜癌),病期(I・II期,III・IV期),リンパ節転移の有無,卵巣転移の有無について検討したが,いずれもFRαの発現との相関は見られなかった(それぞれp=0.221,0.668,0.458,0.292,1.00).また,無増悪生存期間と全生存期間について検討したが,FRαの発現により予後の差は認めなかった(それぞれp=0.616,0.202).先行論文では,病理学的予後不良因子とFRαの発現との相関が報告されていたが,本研究では認めなかった.また,子宮体癌はTCGAの報告で,分子遺伝学的に4つのサブクラスに分けられることが知られている.その4分類とFRαとの相関についても検討したが,相関は認めなかった(p=0.652). 今回の検討では症例数が少なくさらなる検討が必要だが,既存の臨床病理学的因子のとの相関は明らかではなかった.しかし,強い発現を認める症例が4割程度認めるため,一定数でFRαが治療標的として有用であることが示唆された.
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