2020 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍免疫療法に主眼を置いた骨軟部肉腫に対する腫瘍融解ウイルスを用いた新規治療戦略
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19K23888
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近藤 宏也 岡山大学, 大学病院, 医員 (40846911)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 骨軟部肉腫 / 腫瘍融解ウイルス / 腫瘍免疫療法 / 免疫原性細胞死 / DAMPs |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス骨肉腫細胞株(NHOS,K7M2)を用いて腫瘍融解ウイルス(OBP-301,OBP-702)による抗腫瘍効果及びそれに伴う腫瘍免疫治療効果の増幅効果を検討した。 マウス骨肉腫細胞株をOBP-301,OBP-702で治療し、それぞれのウィルスの治療効果によるDAMPs(damage-associated molecular patterns)測定を行い、DAMPs発現量とピークを測定した。従来の化学療法薬(ドキソルビシン)に比べ、OBP-301、さらにはOBP-702でDAMPsの発現は増加しており腫瘍融解ウイルスによる腫瘍免疫賦活化を示唆する結果であった。 また、マウス骨肉腫細胞株をBALB/cマウスの両側の背部皮下に移植した両側皮下腫瘍モデルにおいて、腫瘍融解ウイルス(OBP-301,OBP-702)を用いて一方側のみを治療すると未治療群コントロール及びOBP-301治療群に比べて、OBP-702治療群においては治療対側の非ウィルス投与腫瘍にも腫瘍縮小効果が見られ、腫瘍融解ウイルスによる治療側の腫瘍細胞の免疫原性細胞死(immunogenic cell death; ICD)が誘導した腫瘍免疫の賦活化による遠隔腫瘍に対する抗腫瘍効果と考えられ た。この際非ウィルス投与腫瘍切片に対して免疫染色を行ったところ、未治療群コントロール及びOBP-301治療群に比べて、OBP-702治療群において腫瘍内にCD8陽性細胞の浸潤増加が観察され、腫瘍免疫の賦活化によるTIL(tumor infiltrating lymphocyte)の遊走を示唆された。また、上記実験をヌードマウスモデルを用いることで検討し、ヌードモデルマウスでは未治療対側腫瘍に対する抗腫瘍効果が示されなかったことから腫瘍融解ウイルスの局所投与による抗腫瘍免疫の賦活化による遠隔腫瘍に対する抗腫瘍効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年はOBP-301及びOBP-702を用いた腫瘍融解ウイルス療法によるマウス骨肉腫モデルにおける腫瘍免疫の誘導効果を実証することができ、また、ヌードモデルにおいてその効果が減弱することが示すことができた。しかし、COVID-19感染拡大により学内の研究活動が制限されたこと、また発表を予定していた各国際学会への参加が困難になったため研究活動は予定よりやや遅延し予定していた学術活動は国内での学会発表に制限された。追加の実験を予定していたが次年度に延長することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に予定していた追加実験を次年度に引き継ぐ予定である。内容としては、免疫賦活化のメカニズム解析の網羅的解析、及びリンパ球以外のその他の免疫細胞に対する影響を中心に行なっていく予定である。また、研究成果を学術誌に投稿準備中であり、その過程で追加で必要となる実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
免疫賦活化のメカニズム解析の網羅的解析、及びリンパ球以外のその他の免疫細胞に対する影響を中心に行なっていく予定であったがCOVID-19の感染拡大に伴い学内の研究活動が大幅に制限、また海外からの物品購入も制限されてしまい研究期間及び物品の確保が困難となったため計画を次年度に延長することとなった。
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