2021 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍免疫療法に主眼を置いた骨軟部肉腫に対する腫瘍融解ウイルスを用いた新規治療戦略
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19K23888
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近藤 宏也 岡山大学, 大学病院, 医員 (40846911)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / 腫瘍融解アデノウイルス / p53 / 免疫原性細胞死 / CD8陽性細胞 / DAMPs / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の開発したテロメラーゼ特異的なオンコリティックアデノウイルスとICIを組み合わせた骨肉腫に対する治療の可能性を模索した。ヒトテロメラーゼ逆転写酵素プロモーターがウイルスE1遺伝子の発現を駆動するテロメラーゼ特異的オンコリティックアデノウイルス(OBP-301及びp53搭載BP-702)を以下の5種類の骨肉腫細胞(U2OS, MNNG/HOS, SaOS-2, K7M2, NHOS)に感染させた結果、DAMPs分泌の増加による免疫原性細胞死を誘導した。OBP-301、OBP-702のいずれにおいても免疫原性細胞死の誘導が確認されたが、特にOBP-702投与においてOBP-301に比べてより強力な免疫原性細胞死が得られた(in vitro)。また、マウス骨肉腫皮下腫瘍モデル(NHOS)に対するウイルスの腫瘍内注射投与では、OBP-301投与群に比べてOBP-702投与群においてより強い抗腫瘍効果を認めるとともに腫瘍浸潤CD8+T細胞数が有意に増加しており、抗腫瘍免疫の活性化を示唆する結果であった。また、OBP-702とPD-1阻害剤との併用療法はPD-1阻害剤単独投与に比べて抗腫瘍効果の増強を確認した。この結果は、テロメラーゼ特異的腫瘍融解ウイルスがICIの併用免疫療法が骨肉腫における免疫療法の治療効果を促進する有望な抗腫瘍戦略であることを示唆するとともに、p53を導入することでより強力な免疫原性細胞死が得られ、免疫療法との併用においてより有利であることを示唆する結果であった。
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