2019 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of FOXQ1 in the metaplastic differentiation of breast cancer cells
Project/Area Number |
19K23898
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉田 剛 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (00732405)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 治療抵抗性 / 腫瘍微小環境 / 腫瘍随伴性線維芽細胞 / FOXQ1 / TGF-β / 化生乳癌 / 扁平上皮癌 / スフェロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
癌微小環境において腫瘍随伴性線維芽細胞(carcinoma-associated fibroblasts; CAF)と相互作用した乳癌細胞が扁平上皮様分化を呈する悪性度の高い化生乳癌へと進展するという仮説を立て、in vivoにてCAFで教育された乳癌細胞における扁平上皮マーカーおよび扁平上皮様分化のマスターレギュレーターである転写因子FOXQ1の発現量を調べた。実際、CAFで腫瘍細胞の浸潤能/転移能が促進され、治療抵抗性を獲得することが複数の癌種で認められることが相次いで報告されている。 本研究においてまずCAFで教育された乳癌細胞とコントロールの乳癌細胞をGSEA(gene set enrichment analysis)で網羅的に解析したところ、コントロールと比較して扁平上皮様分化に関わる遺伝子群の発現が有意に増強していた。扁平上皮マーカーであるインボルクリン、ロリクリン、フィラグリン、SERPINの発現量を定量RT-PCRにて調べたところ、転写レベルがCAFで教育された乳癌細胞株で有意に増加していた。また、扁平上皮様マーカーのマスターレギュレーターとして知られるフォークヘッドファミリーに属する転写因子FOXQ1の発現量を検証したところ、コントロールと比較して約5倍増加していた。さらにFOXQ1が悪性度に関与することを調べるため、CAFで教育された乳癌細胞株に対してshort-hairpin RNA (shRNA)を用いてFOXQ1の発現を抑制したところ、CEACAM5・CEACAM6の発現量が顕著に低下していた。 しかしながら、扁平上皮化生を呈する乳癌の症例が順天堂大学病理腫瘍学講座でわずか1例しか存在せず、ヒト化生乳癌組織におけるFOXQ1の発現レベルを免疫染色により検証することが極めて困難であった。さらに、FOXQ1を過剰発現させた乳癌細胞のセルブロックを用いて免疫染色を施行したが、入手可能であった2種類のFOXQ1の抗体では非特異的な染色パターンが多く、核内におけるFOXQ1特異的な検証をすることが不可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
扁平上皮化生を呈する乳癌の症例が順天堂大学病理腫瘍学講座でわずか1例しか存在せず、ヒト化生乳癌組織におけるFOXQ1の発現レベルを免疫染色により検証することが極めて困難であった。さらに、FOXQ1を過剰発現させた乳癌細胞のセルブロックを用いて免疫染色を施行したが、入手可能であった2種類のFOXQ1の抗体では非特異的な染色パターンが多く、核内におけるFOXQ1特異的な検証をすることが不可能であった。 また、腫瘍随伴性線維芽細胞(carcinoma-associated fibroblasts; CAF)でin vivoにて教育された乳癌細胞の形質がin vitroの継代を繰り返すたびに喪失したため、継代数が少なく転移能・悪性度および扁平上皮の形質を維持している乳癌細胞株を用いて再度検証する必要性が出てきた。例えば、CEACAM5およびCEACAM6の発現量を定量RT-PCRで調べたところ、CAFで教育され継代を繰り返した乳癌細胞におけるmRNAレベルがコントロールと比較した際に約30倍の有意差が認められた。しかしながら、本来の形質を維持している乳癌細胞株ではCEACAM5・CEACAM6の転写レベルがコントロールと比較してそれぞれ100倍以上の有意差が認められており、新たに継代数の低い細胞株でないと信頼できる安定した結果が得られないと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
極めて希少な扁平上皮様分化を呈する化生乳癌におけるFOXQ1の発現量や機能を調べるに当たって、まず扁平上皮癌におけるFOXQ1の役割について検証することが重要であると考えている。まずは扁平上皮癌の細胞株であるHSC-3とOSC-19の2種類を用いて3次元培養でスフェロイドを誘導しFOXQ1の発現量を調べる予定である。入手可能であった抗体のうち免疫染色に有用な抗体が無いため、定量的RT-PCRおよびウェスタンブロットで検証する予定である。さらにスフェロイドでは癌幹細胞がenrichmentされることから、HSC-3とOSC-19に対してsmall interfering RNA (si-RNA)でFOXQ1の発現量を抑制した際にスフェロイド形成能がどのように変化するかを調べる予定である。 免疫不全マウスを用いてin vivoにてCAFで教育された乳癌細胞in vitroで再現するため、CAFのconditioned mediumを乳癌細胞の培地に添加して48-72時間後の遺伝子発現プロフィールの変化を調べたが、有意な変化は認められなかった。そこで乳癌細胞に対してはCAFの分泌するサイトカインの代表例であるTGF-betaおよびSDF-1/CXCL-12を添加して扁平上皮様化生が起こるのかin vitroにて検証する予定である。
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Research Products
(8 results)