2020 Fiscal Year Annual Research Report
S100 protein in metastasis and dormancy of breast cancer stem cell
Project/Area Number |
19K23900
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
渡辺 崇 藤田医科大学, 医学部, 講師 (10402562)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / 乳がん / 転移 / S100タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、研究計画に基づき、患者由来腫瘍組織を用いた異種移植乳がんマウスモデルにおいて転移乳がん がん幹細胞で強く発現するS100A10が、乳がんの形成、肝転移において果たす役割を明らかにするために以下の研究を行った。 1.S100A10と連動する遺伝子の解析:昨年度に作製したS100A10発現抑制乳がん細胞株(がん幹細胞性を有する)を用いて、DNA microarrayによる発現遺伝子の変動を解析した。Gene Set Enrichment Analysisにより、浸潤能および幹細胞性に関わる遺伝子セットの発現がS100A10発現量と相関関係があることが明らかとなった。 2.乳がん腫瘍形成および肝転移におけるS100A10が果たす役割の解明:生体内におけるS100A10の働きを明らかにするため、作製したS100A10発現抑制乳がん細胞株を高度免疫不全マウスの皮下乳腺に移植し、乳がん形成能および肝転移能を生体内で解析した。原発巣の乳がん形成能はコントロール群とS100A10発現抑制群において差がなかったが、肝転移巣の数はコントロール群に比較してS100A10発現抑制群において有意に減少していた。このことより、S100A10発現抑制により肝臓への遠隔転移能が減弱することが明らかとなった。 3.S100A10発現レベルと予後との解析:公開されているデータベースを用いて(GENT2)、S100A10遺伝子発現を乳がん組織と通常の組織で比較したところ、有意にがん組織でその発現が高いことが明らかになった。また、S100A10の発現レベルが亢進すると、患者の予後が悪化することも明らかになった。
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Research Products
(3 results)