2020 Fiscal Year Annual Research Report
肉腫における増殖・生存シグナルによる抗腫瘍免疫抑制機構の解明
Project/Area Number |
19K23901
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
礒山 翔 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 分子薬理部, 研究員 (10843394)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 肉腫 / 抗腫瘍免疫 / 増殖・生存シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
増殖・生存シグナルは、がんの増殖だけでなく免疫抑制性の腫瘍内微小環境の成立に寄与していることが知られているが、肉腫においては不明である。本研究では、肉腫の増殖・生存シグナルによる抗腫瘍免疫抑制機構を分子レベルで解明することを目的とする。昨年度までに、ユーイング肉腫におけるPI3Kシグナルによる免疫逃避機構を解明するため、マイクロアレイ解析を行った。その結果、PI3Kシグナルの阻害によって免疫に関連した遺伝子セットが顕著に発現変動していることが明らかとなった。興味深いことに、その遺伝子セットの中に抗腫瘍免疫を抑制するある種のケモカインや抗原提示関連分子が含まれていることが分かった。本年度は、PI3Kシグナルに加えて、ユーイング肉腫で活性化されていることが報告されているIGF1Rとその下流のMEKシグナルによる免疫関連遺伝子の発現制御を介した免疫逃避機構について検討を進めた。また、血液がんや癌腫において、抗腫瘍免疫の抑制への関与が報告されているWNT、JAKシグナルについても検討を行った。具体的には、ヒトユーイング肉腫細胞株RD-ES、A673およびユーイング肉腫の原因遺伝子である融合遺伝子(EWS-FLI1)を導入したマウスのユーイング肉腫発がんモデル細胞株を用いて、各シグナルの阻害剤を処理したユーイング肉腫細胞株の網羅的な遺伝子発現解析をRNA-seqにより進めた。今後、ユーイング肉腫と免疫細胞の相互作用について、in vivo同系マウスモデルを用いて検討し、増殖・生存シグナル阻害薬の投与による腫瘍内免疫細胞の変化を検討していく予定である。
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