2019 Fiscal Year Research-status Report
Targeting bromodomains as a novel therapeutic strategy for clear cell carcinoma of the ovary.
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19K23904
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
重田 昌吾 東北大学, 大学病院, 助教 (90842633)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 卵巣明細胞癌 / ブロモドメイン / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト腫瘍組織を用いた研究であるため、開始にあたり研究代表者が所属する施設の倫理委員会へ研究計画書を提出し承認を得た。書面による説明を行い同意が得られた卵巣癌の患者より、術中に腫瘍検体を採取し卵巣癌オルガノイド樹立にむけた培養を開始した。既存の文献を参考に添加する増殖因子の種類や濃度などについていくつかの培養条件を設計し、同一症例で複数の培養条件を検討した。2症例で条件検討を行ったところ1例で短期培養に成功したため、この培養条件を今後のオルガノイド培養の標準プロトコールとして採用した。 短期培養に成功した1症例に関しては長期安定継代を目指して現在も培養を継続中である。また、本報告書を作成している時点で標準化したプロトコールで新たに1例の培養を開始している。
治療標的候補として抽出済である7種類のブロモドメイン蛋白をオルガノイドでノックアウトするため、一標的分子あたり複数のガイドRNA配列設計を行った。今後、卵巣癌細胞株を用いた予備実験を通して最適なガイドRNA配列をそれぞれの分子について決定していく予定である。 並行して、既存の卵巣明細胞癌細胞株にRNA干渉法を用いた短期的な遺伝子発現抑制を導入し、その抗腫瘍効果について細胞増殖試験で確認を行った。阻害剤が入手可能な分子については阻害剤に対する容量反応曲線も求め、治療標的としての妥当性、有望性について予備的な検証を追加した。本結果は今後実施予定であるオルガノイドを用いた実験結果とも対比していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
卵巣癌オルガノイド の安定樹立に向けてプロトコールを最適化及び短期の培養に成功しているが、初年度は卵巣明細胞癌で手術を受ける症例が少なかったこと、倫理委員会の承認を得てからの研究期間が短かったことから作成を試みたオルガノイドの多くが明細胞癌以外の組織型であった。次年度は明細胞癌の症例からのオルガノイド樹立を積極的に行なっていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に設定した培養条件を用いて、卵巣明細胞癌症例を中心に卵巣癌オルガノイド の長期安定培養を目指す。樹立に成功したオルガノイドについてはヘマトキシリン・エオジン染色や全エクソーム解析などを用いて由来となった卵巣癌組織と病理組織学的、分子生物学的対比を行い、癌組織の特徴が再現されているモデルであることを証明する。 治療標的候補であるブロモドメイン蛋白に対する遺伝子ノックアウトをCRISPR-Cas9システムを用いて導入し、各遺伝子の発現抑制による腫瘍増殖抑制効果を確認する。 並行して、阻害剤が応用可能な分子については阻害剤投与による抗腫瘍効果をオルガノイドで確認していく。特に高い抗腫瘍効果が得られた阻害剤については、マウス異種移植モデルを用いて生体投与の妥当性、安全性を確認する。 十分な数の卵巣明細胞癌オルガノイドを樹立するには時間がかかる可能性もあり、抗腫瘍効果をもたらすメカニズムの解明など既存の卵巣明細胞癌株で代用可能な部分は進捗を見ながら適宜研究試料を変更していくことも検討する。
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Causes of Carryover |
本年度はオルガノイド樹立に係るプロトコールの条件検討が主な研究内容であり、腫瘍組織の小規模培養が中心であった。次年度は確立したプロトコールに則り対象症例数、培養規模ともに拡大してオルガノイド作成、長期培養を展開する予定である。また全エクソーム解析など大きな支出を伴う研究も計画しているため、次年度への使用額が生じている。
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