2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K23906
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上條 広章 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80843820)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 皮膚T細胞リンパ腫 / OX40 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では皮膚T細胞リンパ腫(cutaneous T-cell lymphoma: CTCL)における新規治療ターゲットの模索としてOX40およびOX40リガンド(OX40L)に注目している。 これまでの成果としては、CTCL患者および健常者の皮膚組織を用いてOX40やOX40Lの発現を免疫染色で解析したところ、CTCL腫瘍細胞はOX40とOX40Lを共発現していることが確認できた。またCTCL患者および健常者の皮膚におけるOX40やOX40LのmRNA発現を定量的RT-PCR法で測定したところ、CTCL病変部皮膚組織ではOX40とOX40Lの発現が上昇していた。セザリー症候群の末梢血単核球を分離し、フローサイトメトリーでCD4陽性CD7陰性の異型リンパ球のOX40とOX40Lの発現を解析したところ、腫瘍細胞はOX40とOX40Lを共発現していることがこちらでも確認できた。以上の事実から、CTCLの腫瘍細胞においてOX40とOX40Lが共発現しており、腫瘍進展に何らかの寄与がある可能性が示唆された。 CTCLヒト細胞株を用いて、OX40とOX40Lの機能について検討することとした。CTCL細胞株である、Myla cell, SeAx cell, Hut78 cell, MJ cell, HH cellを用いて、抗OX40中和抗体や抗OX40L中和抗体で相互作用をブロックすることや、リコンビナントOX40Lタンパクを用いてin vitroでの細胞増殖、生存の変化を解析したところ、抗OX40中和抗体や抗OX40L中和抗体で腫瘍細胞の増殖や生存が阻害されることがわかった。OX40やOX40Lが腫瘍細胞において増殖や生存に寄与していることが解明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通り、実験をすすめることができている。免疫化学染色や定量的RT-PCR、フローサイトメトリーによる解析によって、皮膚T細胞リンパ腫(cutaneous T-cell lymphoma: CTCL)の患者組織・検体を用い、CTCL腫瘍細胞がOX40とOX40Lを共発現していることが確認できている。またそのOX40とOX40Lの腫瘍における重要性、機能についてもCTCL細胞株を用いてin vitroの実験を進めており、OX40とOX40Lが腫瘍の増殖、生存に寄与していることが確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって、CTCL患者検体を用いて、腫瘍細胞がOX40とOX40Lを共発現していることが確認できた。またCTCLヒト細胞株を用いて、OX40やOX40Lを中和抗体で中和すると、OX40とOX40Lの相互作用が阻害され腫瘍細胞の増殖や生存が抑制されることを確認した。 今後は、OX40-OX40L相互作用がどのような細胞内シグナル経路に影響しているか、ウエスタンブロット法により解析する予定である。またOX40Lが腫瘍細胞に異所性に発現している機序、つまりどのような転写因子やエピジェネティック制御がOX40Lの過剰かつ異所性発現に寄与しているか検討する。またマウスの腫瘍播種モデルを用いてin vivoにおける、抗OX40L中和抗体の腫瘍抑制効果を検討する。
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