2019 Fiscal Year Research-status Report
CAEBVにおけるEBウイルス由来RNAの解析:発症への関与と治療標的の可能性
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19K23907
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
大橋 彩香 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 助教 (60844371)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性活動性EBウイルス感染症 / マイクロRNA / miR-BARTs / エクソソーム / 傍腫瘍細胞 / サイトカイン / RNase 1 / RNase inhibitor |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)は治療抵抗性EBV陽性T, NK細胞腫瘍である。EBV陽性B細胞腫瘍において、miR-BARTsはエクソソームに内包されて細胞外へと分泌され、 周囲の細胞に伝播されて腫瘍発症に寄与することが報告された。このことから、CAEBVをはじめとするEBV陽性T, NK細胞腫瘍においても同様のメカニズムが存在していると推測した。 まず、CAEBV及びその類縁疾患の細胞株の培養上清からエクソソームが分泌されていることをwestern blot法、ナノ粒子解析システム(NanoSight)で確認した。CAEBV及びその類縁疾患の細胞株、患者由来のEBV陽性T, NK腫瘍細胞、これらの培養上清、CAEBV患者血漿からエクソソームを分離後、全RNAを抽出し次世代シーケンサー、定量PCR (qPCR)でウイルス及び宿主由来マイクロRNA、mRNAの発現を解析した。さらに、CAEBV細胞株を使用し、BART遺伝子転写抑制作用を持つ物質でmiR-BARTsを抑制することで、機能(増殖、生存、サイトカイン産生能等)の変化を解析した。 また、CAEBV患者細胞においてマイクロRNAを含むEBV由来小RNAを制御し得るRNase 1とその阻害因子RNase inhibitor (RI)の発現亢進を観察したため、CAEBV及びその類縁疾患の細胞株におけるRNase 1とRNase inhibitor (RI)の発現をwestern blot法で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進んでいるが、次世代シーケンサーのさらなる解析により、着目するmiR-BARTsのqPCRを追加する必要があると考えている。また、CAEBV及びその類縁疾患の細胞株から分泌されるRNase 1とRNase inhibitorの発現の検討に手間取っている。 一方で、2020年度の計画にあるin-situ hybridizationに着手しているが、マイクロRNAを対象とするin-situ hybridizationは極めて難易度が高いため、細かな条件検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究計画に則り、「傍腫瘍細胞に対する分泌型miR-BARTsの機能解析」を行う。計画書には、エクソソームの取り込みが報告されているヒトマクロファージや樹状細胞を傍腫瘍細胞として記載した。しかしCAEBV患者では40%と高率に血管障害を合併することから、血管内皮細胞にも着目する。腫瘍細胞由来のエクソソームが取り込まれ、miR-BARTsの伝播やトロンボモジュリンなどの血液凝固因子の発現に関与している可能性を検討する。 さらに、すでに着手しているin-situ hybridizationを進めるとともに、本年度の計画にある「RNase 1とRNase inhibitorの発現と機能の解析」についても引き続き継続していく。
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Causes of Carryover |
東京医科歯科大学での任期内に納品が間に合わずキャンセルとなったため。qPCR試薬や細胞培養に必要な試薬を購入する。
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Research Products
(1 results)