2019 Fiscal Year Research-status Report
ROS1融合遺伝子陽性肺癌における根治的薬物療法の開発
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19K23916
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加藤 有加 岡山大学, 大学病院, 助教 (50544904)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ROS1 / AXL |
Outline of Annual Research Achievements |
ROS1融合遺伝子を有するNSCLC(ROS1陽性肺癌)は非喫煙の壮年期に多く、社会的に重要な疾患群である。クリゾチニブは、ROS1陽性肺癌に奏効するが、約1年で耐性化する(クリゾチニブ耐性)。また、実臨床ではROS1陽性肺癌は免疫チェックポイント阻害剤の効果が乏しいことが問題となっている。過去の基礎研究で、 我々は、クリゾチニブに耐性となったROS1陽性肺癌患者に対するEGFRとカボザンチニブを併用投与する治療方法は有望であることを示した(Kato Y. Cancer Sci. 2018)。 今回、ROS1陽性肺癌患者において、①EGFRの活性化、AXLの過剰発現が認められる頻度はどの程度か。②カボザンチニブとEGFR-TKIを初回治療から併用投与することで、より深い寛解が得られ、治癒が期待できるのではないか、という仮説の下、1)クリゾチニブに耐性となったROS1陽性肺癌において、実際のEGFRの活性化、AXLの過剰発現の状況及び新規の耐性機序を確認するため、患者検体及び次世代シーケンサーを用いて包括的に評価すること、2)前臨床モデルで、ROS1陽性肺癌患者由来の細胞株を用いてEGFR-TKI及びカボザンチニブの併用投与の効果を検証すること等とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ROS1融合遺伝子は、非小細胞肺癌(NSCLC)患者の1-2%に認められ、約2,000人/年の新規発生がある。しかしながら、やはり発見頻度はすくなく、新規患者検体は少数のみであった。また、昨年度冬季からのCOVID19感染症の流行により、医療機関の患者紹介や受診の頻度が減少したことも、ROS1陽性肺癌の発見減少の一因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究を進めるべく、早急に実際のEGFRの活性化、AXLの過剰発現の状況等を確認するため、患者検体及び次世代シーケンサーを用いて包括的に評価し、同時進行で、ROS1陽性肺癌患者由来の細胞株を用いてEGFR-TKI及びカボザンチニブの併用投与の効果を検証する。
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Causes of Carryover |
2019年度は、ROS1陽性患者の組織検体を用いた次世代シーケンサ等について実施をする予定であったが、患者検体の採取が進まなかったことかた研究が進まず次年度使用が生じた。また、COVID19感染症の流行により国内・海外の学会も中止となったため使用しなかった。2020年度は、研究実施を進め、当該実施に必要な経費に使用する予定である。
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