2021 Fiscal Year Annual Research Report
ネクロプトーシスを標的とした慢性肝不全急性増悪の病態解明と革新的治療法の創出
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19K23938
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
近藤 孝行 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80845090)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | ACLF / ネクロプトーシス / RIPK1阻害薬 / RIPK3 / pMLKL / AD |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性肝不全急性増悪(ACLF)は、非アポトーシス型の肝細胞死が主な特徴である。ネクロプトーシスは、プログラムされた細胞死の一形態であり、RIPK1、RIPK3、pMLKLが主要な構成要素である。健康なボランティア、肝硬変患者、および急性非代償イベント(AD)で入院した患者において、RIPK3血漿レベルおよびRIPK1、RIPK3、pMLKLの肝発現量を測定した。ACLFにおけるネクロプトーシスの役割は、RIPK1の阻害剤、ネクロスタチン-1(NEC-1)およびSML2100(RIPA56)を用いてACLFの2つの動物モデルで検討した。血漿RIPK3レベルは、28日および90日死亡の予測に有用であり、さらに入院後にACLFへの移行の予測にも有用であった。この傾向は、胆管結紮ラットにリポポリサッカライド(LPS)を投与してACLFを誘発したラットモデルや、ガラクトサミン(CCL4/GalN)を投与した四塩化炭素誘発線維化マウスで再現された。ACLFモデルラットでは、カスパーゼ8活性の抑制が認められ、カスパーゼ依存性の細胞死からネクロプトーシスへの移行が示唆された。NEC-1をLPS投与前に投与すると、肝、腎、脳障害が軽減され、肝および腎の細胞死が減少することにより、ACLFの重症度が有意に低下した。また、CCL4/GalNで発症したACLFのマウスモデルにおいても、RIPA56で同様の肝保護作用が確認された。これらのデータは、ヒトおよび齧歯類のACLFにおいてRIPK1を介した細胞死が重要であることを初めて明らかにした。RIPK1の阻害は、ACLFを発症していない患者からACLFへの進行を防ぐための新規治療アプローチとなる可能性がある。
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Research Products
(2 results)