2019 Fiscal Year Research-status Report
抗体に依存しない血中神経由来EV分離法を用いた認知症血液バイオマーカーの開発
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19K23943
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤嶺 祥真 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 特任助教(常勤) (00846222)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / バイオマーカー / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は血中の細胞外小胞(EV)を大きさ及び密度に基づいて分離する手法を開発するものである。大きさに基づいた分離法はサイズ排除クロマトグラフィー分画法(SEC法)を、密度に基づいた分離法はイオジキサノール密度勾配分画法(IDG法)を採用した。 本年度はまずIDG法の高解像度化を試みた。既存の用手積層する形でのイオジキサノール密度勾配形成は分離幅が1.02-1.30g/mLとやや広く、EVと非EVを分離するには十分であるが、EVのうち特に神経に関連が強いサブ集団を特定するには不十分であると考えられた。そのため、機械での"tilted tube rotation"法を用いてEVをより細かく分画する方法を開発した。この手法は高濃度および低濃度のイオジキサノール溶液を積層したのち、一定の角度・スピード・時間で回転させる事で無段階の密度勾配を形成する事ができる。EVの密度帯である1.08-1.13g/mLを分離幅として、イオジキサノールの密度や回転の条件を最適化した。高解像度化したIDG法で血漿からEVを分離し、ウエスタンブロット法でEV関連蛋白(CD9)が適切に分画される事を確認した。またtunable resistive pulse sensing法を用いて、各分画に検出可能なレベルでEVが存在する事を確認した。粒子径分布は分画間でのオーバーラップが大きく、SECでの更なる分離が有効であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IDG法の高解像度化を予定通り完了した。SEC法の高解像度化も検討すべき条件を既に絞り込んでおり、取り組んでいる最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は高解像度IDG法を用いて神経由来蛋白が存在する分画を特定し、並行してSEC法の高解像度化に取り組む。それらの結果を基に最適な分画を同定したのち、アルツハイマー型認知症患者の血漿から神経由来EV分画を分離し、EVの物的性質および神経由来蛋白の量を健常者のそれと比較する。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも順調に進んでいるため、密度勾配分画法に用いる密度媒体(イオジキサノール)や超遠心チューブなどの使用量が少ない分、次年度使用額が発生した。サイズ排除クロマトグラフィー法に用いるカラムおよび付随物品が当初予定よりも多く必要である事が判明したため、こちらの購入に充てる予定である。
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