2019 Fiscal Year Research-status Report
PIK3CD遺伝子の新規変異によるSLE発症の分子メカニズムの解明
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19K23947
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
清田 今日子 大分大学, 医学部, 医員 (30774492)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | PIK3CD遺伝子 / mTOR経路 / ゼブラフィッシュ / SLE |
Outline of Annual Research Achievements |
『PIK3CD遺伝子の新規変異は、SLEの発症要因となるか』 私たちは、SLEを発症した患児にPhosphatidilinositol-4,5-Bisphosphate 3-Kinase Catalytic Subunit Delta(PIK3CD)遺伝子の新規突然変異を同定した。過去にはPIK3CD遺伝子の活性型変異によりmTOR経路が活性化した報告はあるが、SLE病態形成への関与に関する報告はない。一方、SLEでは免疫系細胞のmTOR経路の活性化の重要性が証明されている。今回、PIK3CD遺伝子活性化型変異(p.R512W)によるmTOR経路の活性化とSLEの病態形成のメカニズムを明らかにする事を目的とする。 まず、PIK3CD新規遺伝子変異が機能獲得型であるのかの検討を細胞およびゼブラフィッシュを用いて行った。 PIK3CD新規遺伝子変異を持ったヒトT細胞株での検討を実施したが、想定していたmTORシグナルの亢進は検出できなかった。また、Tgゼブラフィッシュモデルでの表現型の確認に関しては、組織での差は現在までに確認を行い、明確な差は出ていない。以上のことより、現在までにこの新規遺伝子変異が機能獲得型であるかの確認はできていない。 これまでの研究方法では明確な差が出ていないために、マウスT細胞およびB細胞、マクロファージ細胞を用いて、遺伝子変異の恒常発現細胞を作成し、検討を行っている。T細胞では明確な差は出ていないが、今回の遺伝子変異を持った患児では免疫不全よりも自己免疫疾患が主たる症状であったために、B細胞、マクロファージ細胞での差が出ることを考えている。Tgゼブラフィッシュモデルに関しては、血液サンプルを用いた検討を今後予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遺伝子変異導入細胞株での反応が十分に確認できず、新規遺伝子変異が機能獲得型であることの証明に時間がかかっているために遅れている。 細胞株の変更や検証方法に関しても変更を加えながら実施をしている。 また、ゼブラフィッシュに関しては、個体数の確保に難渋しており、水質の改善や餌の投与方法について変更を行いながら調整を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞株については、現在T細胞だけでなく、B細胞やマクロファージ細胞を用いた実験を行っており、それぞれに刺激も加えながら、シグナル伝達物質の強化を行っている。 ゼブラフィッシュに関しては、個体数の確保ができずに検証が進んでいないが、少量の検体数で実験ができるように フローサイトメトリーを使用しながら研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果が出ておらず、当初予定していた実験計画が進んでいないために、使用額に差が出た。 今後の実験計画の変更によって、新たに購入する物品があり、その購入費用に当てる予定である。
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