2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒト心筋細胞の生存促進制御機構の解明と治療応用に関する研究開発
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19K23950
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
木谷 友哉 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (30842257)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ヒト多能性幹細胞由来心筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓病は全世界的に主要な死因の一つとなっており、新たな治療法の開発が期待されている。心臓を構成している心筋細胞の細胞死は、様々な心臓病の病態の形成に大きな影響を与えているが、心筋細胞の生存を直接増強することで心臓疾患の治療に成功したというヒトでの研究は極めて少ない。 近年ではヒト多能性幹細胞より分化して得られるヒト心筋細胞が広く研究で使用されるようになっているものの、このヒト心筋細胞をプラットフォームとして、心筋細胞の生存および細胞死に関わる分子機構の網羅的な検討はほとんど行われていない。 そこで今回我々は、ヒト多能性幹細胞由来心筋細胞を用いて、CRISPR/Cas9システムを用いた全ゲノムスケールの遺伝子ノックアウトスクリーニングを行ない、ヒト心筋細胞の生存を促進する分子機構を同定することによって、臨床応用の可能性が高い心臓病治療法の研究開発が期待できると考え研究を計画した。 今回の研究計画では、課題1)テトラサイクリン誘導性Cas9発現ヒト多能性幹細胞株の樹立と心筋細胞分化、課題2)心筋細胞生存促進に関わる遺伝子スクリーニング、課題3)モデル動物を用いた評価と同定した分子機構を応用した治療法の開発、の段階に分けて研究を遂行することを計画している。 昨年度は主に課題1に取り組み、テトラサイクリン誘導性Cas9発現ヒト多能性幹細胞株の樹立を達成できた。引き続き複数の株を樹立し計画を遂行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
樹立した細胞株の分化能を確認したところ、親株と比較して心筋細胞への分化誘導効率の低下が認められた。スクリーニングを実施するにあたっては効率よく標的細胞へ分化する細胞の使用が望ましいことから、改めて複数株の細胞株の樹立を行い、心筋細胞へ効率よく分化する細胞株を選択し、引き続きの課題へ移行する必要があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の成果より、テトラサイクリン誘導性Cas9発現ヒト多能性幹細胞株の樹立方法を確立することができたため、改めて最適な細胞株を樹立したうえで、引き続きの研究課題へ取り組む。具体的には複数の独立したiPS細胞株を親株としてテトラサイクリン誘導性Cas9発現ヒト多能性幹細胞株の樹立を行い、複数の候補株を樹立したうえで、心筋細胞への分化能の評価を行い、高分化能を示す株を用いて研究課題2へと移行する予定である。
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Causes of Carryover |
研究課題1で樹立した細胞株の心筋細胞への分化能が低いことから、今後の計画を順調に進めるためには研究課題2へと進行する前に、改めて研究課題1で複数の株を樹立することが望ましいと考えた。そのため研究課題2の開始時期を次年度に繰り越したことから、繰越金は次年度の助成金に加えて予定通り使用する予定であある。
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