2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒト心筋細胞の生存促進制御機構の解明と治療応用に関する研究開発
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19K23950
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
木谷 友哉 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (30842257)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | ヒト多能性幹細胞 / 心筋細胞 / 細胞死 / CRISPR/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓を構成している心筋細胞の細胞死は、様々な心臓病の病態の形成に大きな影響を与えているが、心筋細胞の生存を直接増強することで心臓疾患の治療に成功したというヒトでの研究は極めて少ない。本研究ではヒト多能性幹細胞由来心筋細胞と CRISPR/Cas9システムを用いた全ゲノムスケールの遺伝子ノックアウトスクリーニングを行ない、ヒト心筋細胞の生存を促進する遺伝子群を明らかにし、治療標的となりうる分子機構の探索を行うことを目的として研究を開始した。当初の計画に従い誘導性Cas9発現ヒト多能性幹細胞の作出に成功したものの、Cas9を安定して誘導することに難渋したことから、予定を変更し、分化誘導後の心筋細胞にCas9発現レンチウイルスCRISPRライブラリーを導入し、ドキソルビシン処理下での生存促進遺伝子のスクリーニングを実施した。全キナーゼを標的としたノックアウトスクリーニングではFasシグナル経路、PI3K経路、Gqαなど心筋細胞のアポトーシスに深く関与している経路が上位に検出された。その中にこれまで心筋細胞の細胞死との関連が全く報告されていない新規の遺伝子が含まれており、この遺伝子のノックアウトすることでドキソルビシンによる心筋細胞の細胞死が再現をもって減少することが確認されたことから、今回同定した新規遺伝子の心筋細胞での働き、心筋細胞死の軽減の機序を解明することを開始していいる。並行して当初予定していた全ゲノムでのスクリーニングも実施しており、引き続き当初の計画を遂行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた全ゲノムスクリーニングに先行して行った全キナーゼスクリーニングの結果、ドキソルビシンにより誘導されるヒト心筋細胞の細胞死を有意に減少させる新規性の高い遺伝子を同定した。そのため、当初予定していた実験計画を変更し、同定した遺伝子の機能および細胞死現象の機序の解明を予定に先んじて実施することとした。現在並行して当初予定していた全ゲノムでのスクリーニングも実施しており、引き続き当初の計画を遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において、当初の目的通りヒト心筋細胞の障害時に生存促進に寄与する新規性の高い遺伝子を同定することに成功した。現在ヒト心筋細胞を用いてこの遺伝子がどのような機序で心筋細胞の生存を促進しているのかを明らかにするための研究を実施している。またウイルスベクターを用いた遺伝子導入により、ドキソルビシンによる心筋障害モデルマウスにおいて、心筋障害を軽減することが可能か検討を行う計画をしている。さらに、本遺伝子のノックアウトマウスモデルを作成し、本遺伝子が心筋障害にどのように関与しているのかを明らかにする予定である。また、本遺伝子が関与する経路に影響を及ぼす低分子化合物を用いて、心筋細胞死を減少させることが可能かを検討することで、ドキソルビシンによる心筋障害軽減を目的とした治療薬を探索する。 また、虚血モデルや圧負荷モデルなど異なったマウスモデルにおいても、本遺伝子が心筋細胞の細胞死に関与しているかどうかも将来的には評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画に変更が生じ、全ゲノムを標的としたライブライリーのシークエンスを実施する時期が次年度となった。そのため全ゲノムを標的としたライブライリーのシークエンスを実施するに際し、当該助成金の次年度使用額を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)