2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K23959
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和氣 正樹 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (30847124)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
培養細胞の未分化線維芽細胞であるC3H10T1/2細胞をTGF-βで活性化した場合、ミトコンドリア代謝の活性化の他に、解糖系も亢進してることが示された。ミトコンドリア代謝のみならず、解糖系も亢進していることからコラーゲン合成に関わるATP(アデノシン三リン酸)供給源として、解糖系も関与していると考えられた。このため、重要な解糖系の酵素である乳酸脱水素酵素阻害剤を投与した実験では、mRNAレベルでコラーゲン産生を抑制する可能性が示さされている。詳細なメカニズムは不明であるが、臓器線維化に解糖系が重要な働きをしている可能性を示唆している。 一方、心臓線維化動物実験モデルでは重要な窒素源と考えられているグルタミンの代謝阻害を試みたが、この場合は線維化が促進される可能性も示された。この結果は臓器線維化にはグルタミン以外の因子が関わっている可能性を示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞代謝の変化とコラーゲン産生のメカニズムについて、サイトカインで刺激した場合の解糖系の亢進とその代謝系が重要である可能性があるとする知見が新たに得られた。この知見は臓器虚血など血流不足を背景に酸素欠乏状態の臓器における線維化のメカニズムに迫る可能性が考えられた。一方で、重要な窒素源と考えられるグルタミン代謝の阻害を行った動物実験では、コラーゲン産生の増加につながる可能性が考えられた。新たなコラーゲン産生のメカニズムに迫れる可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
組織修復のための線維化は多くの場合、虚血や創傷部などは血管も発達しておらず、酸素・栄養ともに不十分な部分から進行すると考えられる。一方で、老化等における臓器の線維化は酸素・栄養も十分と考えられるにも関わらず線維化が進行してくと考えられる。 線維化は単一の病態と考えられているが、上に示した通り病態として大きく異なる背景を持っており、同様にATP供給に関わるとだけ考えられた代謝も病態で大きく異なると考えられた。これまで我々が得た知見からも異なる代謝を背景とした線維化がコントロールされている可能性が考えられた。代謝の異なる線維化モデルの確立とともに、それぞれの場合における同位体を用いたコラーゲン組成の検出法の樹立をを行い、引き続き動物および培養細胞を用いた実験を行っていく。
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Causes of Carryover |
共用の実験試薬・消耗品等を使用したため。
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