• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2019 Fiscal Year Research-status Report

軟X線および中硬X線領域の電子線に対する空気のW値の絶対計測

Research Project

Project/Area Number 19K23960
Research InstitutionTokyo Medical and Dental University

Principal Investigator

佐藤 優樹  東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (40839875)

Project Period (FY) 2019-08-30 – 2021-03-31
Keywords空気のW値 / 放射線計測 / 放射線防護 / グラファイトカロリーメータ / グラファイト壁空洞電離箱
Outline of Annual Research Achievements

放射線を計測することは放射線治療, 放射線防護および放射線の産業利用などの様々な分野で重要な役割を果たしている. その中で, 空気のW値は乾燥空気中に1つのイオン対を生成するために必要なエネルギーとして定義されており, 放射線量を決定する際に欠かせない物理量の1つである. しかし、一般的によく利用されている放射線に相当する電子のエネルギー範囲 (数10 keVから400 keV) では、実際に測定されているエネルギー点が非常に限られており、電子に対する空気のW値のエネルギー特性が明確になっていない。そこで、本研究では数10 keVから400 keVのエネルギー範囲の電子に対する空気のW値のエネルギー特性を明らかにすることを目的とする. これにより放射線計測の不確かさを改善し、放射線利用の安全性向上に貢献する。
目的を達成するために, 初めに空気のW値を測定する技術の開発および検証を行った.
本研究では、グラファイトカロリメータによる吸収線量およびグラファイト壁空洞電離箱による電荷の測定値に基づいて空気のW値を決定した。この手法を用いて測定したCo-60 ガンマ線における測定値とICRU Report 90の推奨値 (33.97 eV) を比較することで、計測技術の検証を行った。
本手法を用いて測定したCo-60ガンマ線の測定値は、不確かさ0.06 eV (k = 1) を有する34.06 eVであった。これは、現在の推奨値と非常に良い一致であり、本手法を用いることで空気のW値を精度良く決定できることわかった。今後はこの測定技術を使用して、エネルギー点が限れられている領域における空気のW値の測定を行なっていく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

グラファイトカロリメータによる吸収線量の測定値とグラファイト壁空洞電離箱による電荷の測定値に基づいて空気のW値を決定する手法を開発した。この手法を用いてCo-60ガンマ線に対する空気のW値を測定し、ICRU Report 90によって勧告されている空気のW値の推奨値と比較した。比較の結果、本手法におけるCo-60ガンマ線の測定値は推奨値と不確かさの範囲内で一致したため、本手法は空気のW値を測定に有効であることがわかった。現在はこの手法を用いて、Cs-137ガンマ線の測定に取り組んでいるところである。
一方で、当初の測定予定であった電子の平均エネルギー40, 80, 100 keVに対する空気のW値は、使用するX線照射装置の出力不足が確認され、カロリメータおよび電離箱において満足行く応答が得られないことがわかった。そのため、このエネルギー範囲では本手法を用いて、正確に空気のW値を決定することが困難であることがわかった。

Strategy for Future Research Activity

まずはCs-137ガンマ線に対する空気のW値の決定を行う。また、新たな論文サーベイの結果、6 MeVから10 MeVの高エネルギーの範囲でエネルギー依存を示唆する実験データが報告されており、未だにエネルギー依存を否定するデータは報告されていない。そのため、本研究では、6 MeVから10 MeVのエネルギー領域に対する空気のW値を詳細に測定し、エネルギー特性を明らかにする。

Causes of Carryover

今年度は、研究がうまく進まずその成果を発表するための学会参加ができなかった。そのため、次年度使用額が0より大きくなってしまった。
次年度では、国内・海外で学会発表および実験等で旅費を使う予定である。

URL: 

Published: 2021-01-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi