2023 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化がTDP-43の自己調節に与える影響に着目したALS病態の解明
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19K23961
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小池 佑佳 新潟大学, 脳研究所, 助教 (60844488)
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Project Period (FY) |
2023-02-26 – 2024-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 / DNAメチル化修飾 / 加齢 / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
孤発性筋萎縮性側索硬化症 (sporadic amyotrophic lateral sclerosis: SALS) 患者の神経細胞では、核蛋白TAR DNA binding protein of 43kDa (TDP-43) が細胞質に蓄積する。申請者らは、TDP-43をコードするTARDBP 3’UTRの選択的スプライシングにより、TDP-43発現量は厳密に自己調節されること、及び、SALSではこの選択的スプライシング効率が低下することを示した。しかし、選択的スプライシングが乱れる因子は不明であった。遺伝子スプライシングに影響を与える因子として、DNAメチル化がある。そこで申請者は、SALSでは、TARDBP 3’UTRのDNAメチル化状態が変化し、選択的スプライシングの異常を介し、TARDBP発現量が増加している、と仮説を立てた。本研究では、これを立証するため、ヒト培養細胞を用いた選択的メチル化状態操作によるスプライシング変動の検討、ALSを含むヒト剖検脳組織を用いたDNAメチル化状態の詳細な解析を行った。本研究により、1) TDP-43自己調節領域の選択的な脱メチル化は、選択的スプライシング効率の低下を介し、TDP-43量を増加させること、2) ヒト運動野では、加齢によりTDP-43自己調節領域の脱メチル化が進行し、TDP-43量が増加すること、3) 運動野における、TDP-43自己調節領域のメチル化状態は、ALSの発症年齢と相関することを見出した。これにより、加齢関連性のDNA脱メチル化による、TDP-43量の自己制御機構を解明した。この成果をCommun Biol誌 (Koike, et al. 2021) に報告した。 最終年度はこれまでの研究成果をさらに発展させて、シングル核レベルでALS患者脳のメチル化解析を行うための、プロトコール樹立に取り組んだ。
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