2020 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞における小胞体膜タンパクSTIMの意義の解明
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19K23966
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
臼井 亮太 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40850996)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | インスリン分泌 / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞において、まず膵β細胞株であるMIN6細胞を用いてSTIM1およびその下流因子であるOrai1をsiRNAによりノックダウンすることでSOCEが著明に抑制されることから、膵β細胞においてもSTIM1、Orai1がSOCEに重要な役割を担っていることを確認した。さらに長鎖脂肪酸であるパルミチン酸やGPR40作動薬はグルコース応答性インスリン分泌を増強させ、細胞内カルシウムも増加ささせるが、その作用がSTIM1やOrai1をノックダウンすることで著明に減弱されることを示した。 また膵β細胞特異的STIM1欠損マウスも用いて、欠損マウスでは体重や随時血糖、膵島の大きさなどに変化は認めなかったが、単離膵島におけるインスリン分泌や細胞内カルシウム増加作用のみならず、生体内における経口ブドウ糖負荷試験でもGPR40作動薬による血糖改善効果が障害されることを示し、膵β細胞においてSTIM1によって誘導されるSOCEが長鎖脂肪酸をリガンドとするGPR40活性化によるインスリン分泌の作用に重要な役割を担っていることを明らかにした。STIM1欠損マウスではSTIMのもう一つのアイソフォームであるSTIM2のmRNA発現量が有意に増加しておりSTIM2による代償機構が働いている可能性が示唆された。 また、STIM2においてMIN6細胞を用いてをsiRNAによりノックダウンするとインスリンコンテントが有意に低下し、脂肪酸負荷条件下では小胞体ストレスが増加していることから、STIM2が小胞体内カルシウムを介して小胞体ストレスに影響を与えている可能性が示唆された。また膵β細胞特異的STIM2欠損マウスも用いて、経口ブドウ糖負荷試験を施行したところ、STIM2欠損マウスでは耐糖能が悪化していたが、インスリン分泌は有意差を認めず、このメカニズムについて検討中である。
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