2020 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞での脂肪毒性に関わるABCA1発現制御機構の解明
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19K23970
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 誠祐 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (50843504)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | ABCA1 / インスリン分泌 / ペマフィブラート |
Outline of Annual Research Achievements |
HDL代謝のメイン分子であるABCA1は膵β細胞においても発現しており、その発現が低下することで細胞内の脂質蓄積を誘発し、脂肪毒性と呼ばれる細胞毒性を呈する。ABCA1は様々な因子によりその発現を調節されており、我々はABCA1を調節する様々な因子について報告してきた。その内の1つとして炎症性サイトカインであるTNF-αはp38-MAPKを介してABCA1の発現を低下させ、脂肪毒性を惹起し、インスリン分泌も低下させることを明らかにした。 昨年度はるExendin-4を用いて用量依存的、かつ時間依存的にABCA1の発現を増強させる効果を明らかにした。過去の研究にてGLP-1のABCA1に対する作用は一部CamKK経路を介することを確認していたことから、肝細胞に対する作用にもCamKK経路が関係していると仮定しCaMKK阻害薬であるSTO-609を用いたところGLP-1のABCA1増強作用はキャンセルされることが確認された。マウスに対してExendin-4を投与を行い肝細胞のABCA1が増強されること、肝細胞内の脂質が減少することが確認した。 本年度は、高選択性PPARαモジュレーターであるK877(ペマフィブラート)を用いて、過去に確認したTNF-αによる膵β細胞での脂肪毒性が解除できるかについて研究を実施した。INS-1を用いた研究ではペマフィブラートはABCA1の発現を増強させ、細胞内コレステロールを減らすことが確認され、膵β細胞の脂肪毒性を改善する可能性を有することが分かった。また、INS-1細胞とマウスより抽出した膵ランゲルハンス等を用いてグルコース応答性インスリン分泌(GSIS)をチェックしたところペマフィブラートを投与することでGSISが強化されることも分かった。以上の結果よりペマフィブラートが膵β細胞の脂肪毒性を改善させインスリン分泌も強化することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペマフィブラートがABCA1発現を増強しGSISを強化することが分かったが、過去に報告した脂肪毒性の原因となるTNF-αとの関係については現在のところはっきりとしておらず、どのような細胞内シグナルを介しての作用かは調査できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ペマフィブラートの作用がどのような細胞内シグナルを介するものか調査する。また、TNF-αの作用をブロックし膵β細胞の脂肪毒性を改善するその他の化合物に関しても調査していく。
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Causes of Carryover |
コロナ感染の流行により研究遅延が生じているため。
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