2020 Fiscal Year Research-status Report
循環器併存症の観点からみた心原性脳塞栓症患者の診療データベース確立
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19K23985
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂本 悠記 日本医科大学, 医学部, 助教 (60551190)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 心原性脳塞栓症 / 循環器併存症 / 脳梗塞 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、循環器系併存症の観点からみた心原性脳塞栓症患者のデータベースを構築することである。 本年度は、作成したデータベースに登録する患者を蓄積している。報告者が所属する研究機関においては問題なく患者の登録を行えており、研究遂行に大きな支障は無い。 本研究に関連し、本データベースも活用した論文を、本年度1本発表した。脳梗塞と同様、脳出血も近年特に高齢患者の増加が目立っており、高齢患者の中には、高血圧、心房細動を中心として循環器系併存症を合併する患者が多い。しかし、高齢発症の脳出血と、そうでない患者の差異に関しては不明な点も多かった。私は、本データベースの情報も援用しながら、高齢発症脳出血患者では脳皮質下出血に加え視床出血が多いこと、また脳小血管病の蓄積が出血部位に与える影響を検討し、発表した(Sakamoto Y, et al. Cerebrovasc Dis. 2021)。脳小血管病は主に高血圧の暴露により進行するとされ、年齢とは独立して視床出血発症に関連していた。高齢であるだけでなく、比較的若年であっても脳小血管病の進展により視床出血を生じることは、高血圧を含む循環器系併存症を制御することにより、脳小血管病の進展抑制を通じて、ある種の脳出血を予防できる可能性を示唆していると考えた。 このように、比較的順調に研究は進んでいると考えるが、データベースの多施設共有などに課題を残している。自施設では研究遂行、患者登録に支障はないが、今後多施設でのデータベース共有に向けて課題の洗い出しとその解決方法の検討を行っていく必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心原性脳塞栓症患者のデータベースは蓄積されているが、本研究においては、循環器並存症を加味したデータベースを構築し、多施設間でそれを共有することを 目的としている。多施設での共有には個人情報や倫理委員会などの問題があり、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデータの蓄積を行う。また、データベース共有に関して、倫理的、法的問題を整理し、解決方法を検討する。
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Causes of Carryover |
データベースの共有に関して予定より計画が少し遅れており、それに伴って予定していた費用の使用を次年度に繰り越したため、次年度使用額が生じた。
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