2021 Fiscal Year Research-status Report
禁煙に伴う腸内細菌叢を介したHDL機能制御のメカニズムの解明
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19K23986
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高田 耕平 福岡大学, 医学部, 助教 (50765279)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
喫煙は動脈硬化性心疾患の確立された危険因子の一つであるが、腸内細菌叢と動脈硬化性心疾患との関連性もこれまで報告されてきた。腸内細菌叢は遺伝的影響だけでなく、食事を含む生活習慣によって決定され、喫煙との関係も少なからず報告されているが、禁煙による腸内細菌叢への影響の報告は限られる。そこで禁煙による腸内細菌叢変化を観察することを、本研究の当初の意図としていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で禁煙外来への通院者が激減し、さらには禁煙補助薬の出荷停止の事案から、当初の計画に沿った禁煙前後でのサンプル収集を行うことが困難となった。そこで対象を禁煙外来から健康診断における一般集団へと変更し、喫煙の有無による影響を評価する方針へシフトすることとした。 現在700症例前後の便サンプルを収集済であり、それらの一部は細菌叢解析 (16S rRNA解析)が終了している。今回我々は中間解析として、腸内細菌叢解析が終了した618名の被験者のうち喫煙に関する情報を有した計315名を対象に、喫煙とCTで評価した冠動脈石灰化の関連性において、腸内細菌叢が与える影響を検証した。Spirochaetes・TM7・Firmicutesといった腸内細菌が喫煙状況と関連しており、現在の喫煙と冠動脈石灰化の関係の28.7%が、一方で禁煙と冠動脈石灰化の関係の4.7%が腸内細菌叢を介している可能性があるとの結果を得ることが出来、第86回 日本循環器学会学術集会で発表を行った。 今後は引き続き、腸内細菌叢や冠動脈石灰化の解析を進めていくことと併せて、液体クロマトグラフィー質量分析法による食物由来の血中コリン代謝産物代謝産物であるTMAO (trimethylamine N-oxide: トリメチルアミンNオキシド)濃度の測定システムの構築を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症や禁煙補助薬の出荷停止の影響による研究遅滞を生じ、対象集団と研究の方向性に関する大きな変更を行った。健康診断受診者の一般集団を対象に研究を行っているが、健診受診自体だけでなく、その後のCT受診も新型コロナウイルス感染症の影響で減少やキャンセルなどのいわゆる受診控えが相次いでいる。そこで対象となる健診エリア拡大に関して、該当の自治体担当者と交渉をこれまで進めてきたが、新型コロナウイルス感染症の流行下では対応不可能とのことであった。 以上の理由より、当初の予定よりも大きな遅滞が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の流行状況をみながら、健診エリアの拡充に関しては関連自治体担当者と適宜交渉を行いながら、研究推進を図る。 さらに上述のTMAO測定系の確立を進めていき、確立後に実際のサンプル測定を行っていく。
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Causes of Carryover |
本来の計画とは異なる方向性へと研究自体が変化したことによる研究の遅れによる対象者の登録や解析が遅れたため次年度使用額が生じた。本年度は健常ボランティアからのサンプルを用いてまずTMAO測定系の確立を行い、その後に腸内細菌叢を解析済の被験者サンプルの解析に着手していく予定である。これらの測定にかかるコストを次年度使用額として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)