2021 Fiscal Year Research-status Report
徐放化局所麻酔薬の癌細胞増殖に対する影響ならびに腫瘍免疫に対する効果の検討
Project/Area Number |
19K24005
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 景子 (原口景子) 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (50846897)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 局所麻酔薬 / 癌細胞増殖抑制 / リドカイン / GDF-15 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
局所麻酔薬リドカインを様々な癌細胞株へ投与すると、容量依存的に癌細胞株の増殖が抑制される。そのため、リドカイン投与により発現量が変化する遺伝子を次世代シークエンサーを用いて解析したところ、解析した癌細胞株に共通して発現が変化していた9遺伝子を同定した。その中で、腫瘍抑制効果が報告されているGrowth differntiation factor (GDF)-15遺伝子が含まれていた。GDF-15はTransforming growth factor(TGF)-beta superfamilyに属し、様々な生理活性を有している。 qPCR、Westren Blottingにてリドカイン投与により、GDF-15の発現が上昇することを確認した。また、蛍光免疫法により、リドカインにより誘導されるGDF-15は小胞体に強く局在し小胞体ストレスを惹起していることが明らかになった。さらに、リドカイン投与により、GDF-15遺伝子の発現を促進する転写因子CHOPの発現も上昇していた。CHOPは小胞体ストレス反応により誘導される転写因子であり、リドカインにより癌細胞株に小胞体ストレスが生じ、GDF-15の発現が誘導されることを強く示唆する。 さらに、リドカイン投与により癌細胞株の増殖が抑制されるが、siRNA法によりGDF-15遺伝子の発現をknockdownすると、リドカインによる癌細胞増殖抑制は阻害された。以上よりリドカインは癌細胞株に小胞体ストレスを惹起し、増殖を抑制している可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所麻酔薬リドカインを癌細胞株へ投与後、発現量が変化する遺伝子を数種類同定した。そのうち、リドカインによる誘導されるGDF-15遺伝子による癌細胞株抑制のメカニズムを解明したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
リドカインにより誘導されるGDF-15遺伝子は小胞体のほか、Westren Blotting法、ELISA法により細胞外に分泌されることが明らかになった。そのため、細胞外へ分泌されるGDF-15の機能を解析する。さらに、次世代シークセンスにより同定されたリドカインにより発現が誘導されるGDF-15遺伝子以外の遺伝子の機能についても着目し解析を行う。
|
Causes of Carryover |
論文投稿のため、英文校正費用と掲載料は必要なため
|