2020 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of target molecule for immunotherapy focusing on natural immuno-system of circulating tumor cell
Project/Area Number |
19K24009
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
奥野 将之 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10844011)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
|
Keywords | 循環腫瘍細胞 / 癌微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではまず、転移性大腸癌患者からフィルター法により術中および術後にCTC採取を行い、手術によるCTC検出数の変化、術後の適切な採取時期の検討を行うこととしている。 この前段階として、市販のフィルター法でのCTC採取キットの確実性を評価するため、前実験を行った。被検者より採取した血液に、既に研究室で保有しているヒト大腸癌細胞株を数個混入し、これをフィルター法で採取した。本実験により、フィルター法でのCTCに見立てた大腸癌細胞を回収することが出来た。その後、実際の被検者よりサンプルを採取し、フィルター法でのCTCの分離を試みたが、想定よりもリンパ球の混入が多く、CTCの分離・回収が上手く出来なかった。今後、フィルターの変更など、条件を変更してCTCの分離を試みる予定であるが、コロナウイルス感染の拡大の影響により、被検者からのサンプル採取が進んでいない。また、引き続き研究者の移動制限も続いている。今後、被検者からのサンプル採取と適切なCTC分離が出来れば、RNA sequenceなど予定している実験を行っていく予定である。 上記理由により、予定通りの実験の継続が困難であったため、並行して転移先臓器の微小環境がCTCの接着に与える影響について評価を行うための動物実験を行った。ラットにモノクロタリンを経口投与することで、sinusoidal obstruction syndromeと呼ばれる血管内皮障害を肝障害を惹起した。ラットの脾臓に大腸癌細胞を注入する転移モデルを作成し、肝障害ラットと正常肝ラットの間で肝転移の程度を比較すると、肝障害ラットでは転移個数が有意に多かった。一方で、癌細胞を直接肝被膜下に注入しても、正常肝ラットと肝障害ラットの間で腫瘍径に有意差を認めなかった。よって、血行性転移には臓器の微小環境が影響していおり、これは血管内皮障害が関連していることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
市販のフィルター法によるCTC採取キットでは、想定よりもリンパ球の混入が多く、CTCの分離が困難であった。よって他のフィルターを用いるなどの条件設定が必要となるが、コロナウイルス感染拡大により、被検者からのサンプル採取や実験施設への移動制限などがあり、想定よりも進んでいない。 このため、現状で可能な実験として動物実験モデルを用いた大腸癌の血行性転移と癌微小環境との関連についての研究を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
対象となる症例があればサンプル採取を行って、適切なCTCの採取・分離について検討を進める。その後CTCの分離が安定的に可能となれば、RNA sequenceなど予定している研究を進める。コロナウイルス感染の終息により、被検者からのサンプル採取の機会が増えると考えている。 また、ラットを用いた肝転移モデルによって癌微小環境が血行性転移に影響を与えることが明らかとなったため、CTCモデルを用いて同様の実験を行い、CTCの臓器への生着と癌微小環境の関連についても明らかとする予定である。
|
Causes of Carryover |
循環腫瘍細胞回収キットおよびRNA sequenceを行うランニングコストを計上する予定であったが、コロナウイルス感染の拡大により、被検者からのサンプル採取が予定通りに行えなかった。 次年度に、コロナウイルス感染が終息次第、被検者からのサンプル採取およびRNA sequence解析を進める予定である。
|