2020 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植に伴う虚血再灌流障害を腸内細菌叢の調整により緩和する試み
Project/Area Number |
19K24012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 公治郎 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (10848203)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 肝移植 / 虚血再灌流障害 / 抗生剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血再灌流障害 (IRI)は移植に伴うグラフト保存とその後の血流再開によってもたらされるグラフト障害であり,early allograft dysfunctionや拒絶にも影響するため,IRIの予防は移植医療における重要な課題である。近年,レシピエントへの術前抗生剤投与が肝IRIを緩和しうる可能性が報告されているが,肝・腎機能低下を伴うことの多い肝移植レシピエントへの「吸収性」抗生剤投与は臓器障害助長や耐性菌出現などの観点から忍容性が低いと思われる。リファキシミン(RFX)は肝性脳症の治療・予防に対して使用されている「非吸収性」の抗生剤であり,比較的安全に長期間投与が可能であるが,RFX が肝移植におけるIRIを緩和しうるかは解明されていない。C57BL/6マウスから採取した肝グラフトを18時間の冷保存の後にBALB/cマウスに移植した。肝移植前のレシピエントマウスにRFXを投与した群では対照群に比べて,移植6時間後の血清中肝逸脱酵素の値が低く,組織学的IRIスコアが低く,好中球とマクロファージの肝内への集積が緩和されており,炎症性サイトカインの発現も軽減されていた。抗生剤投与を受けたレシピエントマウスにナイーブマウスの糞便を経口投与した後に肝移植を行うことで,抗生剤群では軽減されていたIRIを再燃させることができ,腸内細菌叢が肝IRIの重症度に影響を与えることが分かった。抗生剤投与を受けたマウスの腸内細菌叢を網羅的に検討した結果,抗生剤投与は腸内細菌の個体数・豊富度・多様性を減少させ,AkkermansiaとBacteroidesの割合を増すことが分かり、これらが肝障害に影響しうる可能性が示唆された。また,京都大学において生体肝移植を受けた成人レシピエント87症例を後方視的に解析した結果,RFXの投与を術前に受けたレシピエントは対照群に比べて移植後のpatient survival,graft survival,rejection-free graft survivalが良好であることが分かった。
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[Journal Article] Ischemia-Reperfusion Injury in Allogeneic Liver Transplantation: A Role of CD4 T Cells in Early Allograft Injury2020
Author(s)
Shoichi Kageyama, Kentaro Kadono, Hirofumi Hirao, Kojiro Nakamura, Takahiro Ito, David W Gjertson, Rebecca A Sosa, Elaine F Reed, Fady M Kaldas, Ronald W Busuttil, Jerzy W Kupiec-Weglinski, Yuan Zhai
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Journal Title
Transplantation
Volume: 15
Pages: Ahead of Print
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Recipient antibiotics pretreatment alleviates transplanted liver damage in mice and humans2020
Author(s)
Kojiro Nakamura, Shoichi Kageyama, Takahiro Ito, Hirofumi Hirao, Kentaro Kadono, Kenneth Dery, Hidenobu Kojima, Keiji Nagata, Masato Matsuura, Tetsuya Shiota, Jyunji Iwasaki, Taku Iida, Atsushi Itami, Takahisa Kyogoku, Jerzy Kupiec-Weglinski
Organizer
The 55th Congress of the European Society for Surgical Research
Int'l Joint Research