2019 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌に対する青色LEDの抗腫瘍効果と光受容体の関与についての研究
Project/Area Number |
19K24015
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武原 悠花子 徳島大学, 病院, 医員 (90846122)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 青色LED光 / 大腸癌 / オートファジー / 光受容体 / オプシン / Opn3 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究 1-1)LEDの大腸癌に対する抗腫瘍効果(in vitro)ヒト大腸癌細胞株HT29、HCT-116に対して波長465nmの青色LED光を30mW/cm2の照射強度で30min 単回照射を行ったところ有意な増殖抑制効果を認め、autophagyに着目して検討を加えたところ、青色LED光照射群でLC3、Beclin-1 mRNAの発現増加を認め、細胞質内オートファゴソームの誘導が確認された。アポトーシス及び細胞回転関連因子については変化を認めなかった。このことから、大腸癌細胞に青色LED光を照射するとオートファジーが誘導され、細胞増殖が抑制されると考えられた。 (研究 1-2)Opn3に着目したLEDの抗腫瘍効果メカニズムについての検討(in vitro)Gタンパク共役型光受容体・Opsin familyのOpn3は視覚と関係のない深部臓器でも広く発現していることが近年明らかにされ、青色光を照射することによって、共役しているGi/o・Gタンパクの活性化・adenylcyclase抑制が起こり、細胞増殖抑制に働くことが報告されている。HCT-116にOpn3が発現していることをRT-PCR、ウエスタンブロットで確認した。青色LED光照射におけるOpn3 siRNA・NF023(Gi/o・G-protein阻害剤)によるOpn3のknock downの影響を解析した。結果としてOpn3 siRNA・NF023により青色LEDの細胞増殖抑制効果、オートファジー誘導はキャンセルされたことから、青色LED光の大腸癌細胞抑制効果には光受容体Opn3が重要な役割を果たしていることが示唆された。 (研究 2)LEDの癌細胞に対する抗腫瘍効果(in vivo)4-5週齢 Balb/cヌードマウスの直腸にHCT-116を5×106個移植して同所性モデルを作成した。移植後7日目から465nm・30mW/cm2・30min/weekのプロトコールで腫瘍部にLEDを照射し、抗腫瘍効果について21日目に検討したところ、腫瘍サイズの有意な縮小を認めたことから、青色LED光の大腸癌細胞抑制効果はin vivoでも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LEDの大腸癌に対する抗腫瘍効果(in vitro)、Opn3に着目したLEDの抗腫瘍効果メカニズムについての検討(in vitro)、LEDの癌細胞に対する抗腫瘍効果(in vivo)についての検討は上述のように進展している。ヒト大腸癌症例におけるOpn3発現の意義に関する検討については今後の検討課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
LEDの癌細胞に対する抗腫瘍効果(in vivo)について、Opn3mRNA、apoptosis関連因子・オートファジー関連因子(LC-3, Beclin-1)等を測定する。また、青色LED光照射によるOpn3の細胞質から細胞膜への移動について、アレスチンとOpn3の免疫染色を行い、アレスチンの関与について検討しメカニズムを明らかにする。腫瘍微小環境への影響についても検討するため、TGF-β, TNF-α, IL-10, VEGF, PD-1, PDL-1, Foxp3, IDO,α-SMA等の発現について免疫組織化学染色で評価する。
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