2020 Fiscal Year Annual Research Report
N型電位依存性カルシウムチャネルとリアノジン受容体を標的とした脊髄保護療法の開発
Project/Area Number |
19K24027
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大橋 正幸 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (70706720)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 電位依存性カルシウムチャネル / 脊髄保護療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷後の重症化(二次障害)には、活性酸素 (ROS)が深く関与しており、その機序として「グルタミン酸毒性」が報告されている。我々は、脊髄横断スライスを用いた電気生理学的実験により、脊髄前角においてはROSによるN型電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)と小胞体のリアノジン受容体(RyR)の活性化によりグルタミン酸が過剰放出されていることを報告した。本研究の目的は、脊髄損傷モデルラットにおけるN型VGCC阻害剤 (ジコノチド、ZIC)とRyR阻害剤(ダントロレン)の脊髄保護効果を検討することである。 成熟ラット(雄、180-250 g)を用い、全身麻酔下に専用デバイスを用いて200 kilodynesの力で脊髄に圧挫を加え、不全脊髄損傷モデルを作成した。ZIC(200pmol)を受傷後4時間で腰椎よりくも膜下投与した。運動機能評価として、脊髄損傷後14日間の運動機能をBasso-Beattie-Bresnahan (BBB) score で評価した。脊髄損傷後14日目のラットより深麻酔下に脊髄を摘出し、免疫組織学的実験を行った。BBB scoreではZIC群(n=6)、対照群(n=11)ともに、損傷後経過とともに後肢運動機能は改善傾向を認めた。各記録時点において対照群とZIC群のBBB scoreを比較すると、脊髄損傷後1~5日まではZIC群のBBB scoreが対照群と比較して有意に高かった (P<0.05)。しかし、受傷後7日以降は有意差を認めなかった。また、NeuNに対する免疫染色では、対照群と比較してZIC群のNeuN陽性細胞数が多かった (ZIC群: 46.0±4.4、対照群: 22.9±3.0、P = 0.02)。今後はZIC複数回投与の効果も検討予定である。本研究で脊髄保護効果が確認されれば、ドラッグ・リポジショニングによる早期臨床応用も期待できる。
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