2019 Fiscal Year Research-status Report
網膜色素変性におけるミクログリアのゲノムの酸化の影響の解明
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19K24033
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中武 俊二 大分大学, 医学部, 助教 (30847091)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 網膜色素変性 / 酸化ストレス / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜色素変性(RP: Retinitis Pigmentosa)は種々の遺伝子異常により視細胞死が引き起こされる疾患群であり、病態についても不明な点が多く、いまだ有効な治療法がないのが現状である。RPにおいてミクログリアは視細胞を貪食し神経炎症を誘導し、網膜変性を促進することが知られており、ミクログリアのDNAへの酸化ストレスがミクログリアの活性に重要な役割を果たしていることも明らかになっている。また、死細胞から放出される組織障害関連分子群(DAMPs: damage-associated molecular patterns)が網膜変性において重要な役割を果たしていることも明らかになっている。しかしながら、ミクログリアの活性や神経炎症・視細胞死の誘導の詳細なメカニズムはまだ解明されていない。今回、RPモデル動物を用い、ミクログリアの活性などの変化を検討し、視細胞死の詳細なメカニズムの解明を目的とした。神経炎症の誘導機構として、DAMPsとそれを認識する機構について着目した。 RPモデルマウスは、Pde6b遺伝子のミスセンス変異によって網膜変性を発症するrd10マウスを用いた。Pde6b遺伝子のミスセンス変異はヒトRP患者でも認められている。DAMPsの認識に関連する分子をノックアウトさせたマウスとrd10マウスと交配させる。各マウスの網膜検体を用い、神経炎症に関わる多数の遺伝子の発現を網羅的に解析する予定としている。この結果より、変動を認めた遺伝子に関わる炎症経路を解析する事でDAPMsと神経炎症の関連について詳細なメカニズムを解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DAMPsの認識に関連する分子を欠失させたマウスとrd10マウスとの交配は終わっており、マウスの作成は完了している。各モデルマウスの網膜検体を用い、神経炎症に関わる遺伝子を網羅的に解析する予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
各モデルマウスにおいて神経炎症に関わる遺伝子の発現の比較検討を行う予定としている。各モデルマウスにおいて発現の差を認める遺伝子について着目し、DAMPsの認識機構と神経炎症について詳細なメカニズムの解明を行い、RPの病態進行に酸化ストレスがどのような影響を及ぼしているのかを解明する。
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Causes of Carryover |
今後、DAMPsの認識に関連する分子を欠失させたマウスとrd10マウスを交配させて作成したマウスの網膜サンプルを用い、神経炎症に関わる遺伝子を網羅的に解析する予定としており、その解析に多くの費用がかかる事が予想されており、そのため次年度に使用額の繰り越しを行なった。
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