2020 Fiscal Year Annual Research Report
CRISPR/Cas9を用いた子宮体癌におけるエストロゲン関連受容体伝達機構解明
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19K24034
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
古株 哲也 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (80848490)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ERRα / エストロゲン受容体 / 子宮体癌 / 化学療法抵抗性 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ホルモン依存性疾患とされる子宮体癌における治療抵抗性機序とエストロゲンシグナル伝達系との関連について詳細な検討はなされていない。研究代表者らはこれまでエストロゲンシグナル伝達系の腫瘍制御機構を明らかにしてきた。本研究では子宮体癌細胞株(HEC-1A、KLE、Ishikawa)から作成したpaclitaxelおよびcisplatin抵抗性細胞株(以下、抵抗性株)を用い、抵抗性獲得機序、制御機構を解明を目的とした。昨年度にエストロゲン関連受容体(ERRα)がmiR-9を介して多剤耐性遺伝子のMDR1を制御する証左を得たが、本年度は抵抗性獲得機序のさらなる究明を目指し評価を行った。抵抗性株は複数薬剤に対しても一定の感受性低下を示したが、MRPをはじめとする他の薬剤排泄を促進するタンパク発現の増加は認めなかった。次に抵抗性株でERRαとともに発現レベルが増加したc-Mycは、ERRαのknockdownによりさらに上昇する一方で、正常株にERRαを強発現させると低下し、逆相関を呈した。両者の関係性についてはさらなる検討が必要である。抵抗性株ではXIAPやBcl-2が上昇する一方で、survivinはmRNAおよびタンパク発現が低下する傾向にあった。しかし、cleaved caspase3は低下していることから抗アポトーシス機構が亢進していることが示された。また抵抗性株においては腫瘍進展に強く関与するPI3K/AKT/mTOR pathwayのタンパク発現が増加しており、特にcisplatin抵抗性株でより顕著であった。ERRαがこの伝達系を制御することはすでに証明しており、以上の結果から治療抵抗性を獲得した子宮体癌においてERRαを標的とした治療が、抵抗性改善だけでなく、より包括的に腫瘍を制御しうる可能性を示唆している。
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