2020 Fiscal Year Annual Research Report
活動性マイクログリア制御による緑内障モデル動物の神経保護治療の試み
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19K24040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前川 重人 東北大学, 大学病院, 助教 (80625294)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 緑内障 / マイクログリア / 慢性炎症 / ヘスペリジン |
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障治療において、十分なエビデンスによって確立された眼圧下降に依存しない神経保護薬は未だ存在しない。その理由として緑内障は多因子疾患であり、眼圧非依存的な病因因子が複数存在すると推測される。これまでの基礎および臨床研究から、酸化ストレス、小胞体ストレス、興奮毒性、慢性炎症などが原因とされている。慢性炎症のoriginのひとつとしてマイクログリアが考えられており、緑内障病態の本態である視神経障害時において網膜内のマイクログリアが活性化することが報告されている。本年度は、昨年度に得られた視神経挫滅後のマウス網膜をサンプルとしたRNA-seqの結果を解析し、活性化マイクログリアの表面マーカー候補として6種類のCD抗原を同定した。この6種類のCD抗原のうちCD69ならびにCD72はLPS刺激後のBV2マイクログリア細胞株においても遺伝子発現が増加することをqPCRにより確認した。さらに、CD69は視神経挫滅後の網膜において増加し、マイクログリアのマーカーであるIba1と共局在することを確認した。BV2マイクログリア細胞株を用いた実験においてもLPS刺激によりCD69陽性細胞が増加することをフローサイトメトリーで確認した。これらの結果から、CD69は炎症性の活動性を持つマイクログリアのマーカーである可能性が示唆された。申請者はこれまでの研究においてポリフェノールの一種であるヘスペリジンがNMDAによる興奮毒性モデルにおいて網膜内炎症を抑制することを報告している。そのためヘスペリジンがマイクログリアに対し抗炎症作用を示すかどうかを検討した。培養BV2マイクログリアに対しLPS刺激したところCD69に加えてTNFa, IL-1b, IL-6, ccl2のサイトカインの遺伝子発現が増加し、ヘスペリジンの前処理によりCD69および上述のサイトカイン発現量は有意に減少した。
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