2020 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体癌におけるエストロゲン関連受容体-上皮間葉転換を介した浸潤転移機序の解明
Project/Area Number |
19K24049
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
寄木 香織 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70851682)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | エストロゲン関連受容体 / 癌-関連相互作用 / 上皮間葉転換 / 子宮体癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エストロゲン関連受容体α(ERRα)が子宮体癌において癌ー間質相互作用と浸潤・転移作用に及ぼす影響について明らかにすることを目的として以下の実験を行った。①ERRαを強発現または発現を抑制させた子宮体癌細胞株と子宮内膜間質細胞株を共培養し、間質細胞側の炎症性サイトカインの発現や体癌細胞側の上皮間葉転換(EMT)関連因子の発現について調べた。②単培養でERRαを強発現・発現抑制させた子宮体癌細胞株にTGF-βを添加しEMT関連因子の変化を調べた。③ERRαの発現を抑制した体癌細胞株にTGF-βを添加し、浸潤能の変化を調べた。④ERRαのインバースアゴニストであるXCT790を添加することによるEMT関連因子の変化について調べた。その結果、体癌細胞のERRαの発現が共培養により間質細胞のTGF-βの発現を上げ、さらに体癌細胞のSnail, ZEB1, Vimentinの発現を上げた。ERRαを過剰発現させた癌細胞にTGF-βを添加するとEMT関連転写因子の発現が上昇し,上皮細胞マーカーであるE-cadherinの発現が低下した.一方,ERRα抑制下でTGF-βを添加するとEMT関連転写因子の発現が低下し,E-cadherinの発現は変化しなかった.また、TGF-βの添加は癌細胞の遊走能・浸潤能を促進したが,ERRα抑制下ではTGF-β誘導性の遊走能・浸潤能は有意に低下した。しかし、XCT790によるEMT関連因子の変化は認めず、内因性のERRα発現が重要であると考えられた。ERRαはTGF-β誘導性のEMTを増強させ,癌細胞の遊走能と浸潤能を促進し、ERRαが子宮体癌におけるEMTを阻害するための新たな治療標的となり得ることが示唆された。 今後は、子宮体癌の腫瘍微小環境におけるエストロゲン合成に関わるERRαの役割についても同共培養実験系を用いて調べる計画である。
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Research Products
(1 results)