2021 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌におけるmicroRNA-655の腫瘍浸潤能マーカーとしての開発
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19K24061
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
原園 陽介 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (90845364)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | microRNA / 口腔がん / EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療において、分子標的治療薬などの薬剤適応あるいは腫瘍マーカーの開発が近年急速に進んでいるが、口腔がんにおいては適応となる薬剤や診断マーカーが非常に限定的である。申請者は、上皮-間葉転換(EMT: Epithelial Mesenchymal Transition)に着目して確立した独自の機能的探索モデル系を構築し、新規EMT抑制性microRNAとしてmiR-655を同定し、がん細胞における浸潤能抑制作用や、食道扁平上皮癌検体におけるmiR-655発現と予後の相関を示した。血清中のmiR-655の測定による診断マーカーとしての臨床応用が食道扁平上皮癌において進められている(Kiuchi et al, Mol Cancer 2019)ことから、本研究ではmiR-655の口腔がんへの適応を評価する。 これまでの研究では膵臓がんを中心とした細胞株を用いてmiR-655の効果を検証してきたが、これを口腔がん細胞株(HSC2/3/7,TSU,HOC-313,KOSC-2)に導入する。まずはmiR-655とその標的遺伝子の発現をタンパクレベル・RNAレベルで解析し、発現プロファイルに応じて口腔がん細胞株を上皮系細胞株、間葉系細胞株に分類した。続いてEMT抑制能をmigration assay、invasion assayにて評価したが、仮説を裏付ける結果を見出すことはできなかった。 また東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンターにて保有する、臨床情報を伴った口腔癌患者の血漿検体中の遊離miR-655を測定するべく準備を進めているが、COVID-19流行に伴う度重なる緊急事態宣言によって、特に健常人サンプルの収集に遅れが出ている状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
in vitro実験においては、口腔がん細胞株においてmiR-655とその標的遺伝子の発現をタンパクレベル・RNAレベルで解析し、発現プロファイルに応じて上皮系細胞株、間葉系細胞株に分類することはできたが、続くEMT抑制能の解析で仮説通りの結果が得られていない。 口腔癌患者の血漿検体中の遊離miR-655を測定するべく準備を進めているが、COVID-19流行に伴う度重なる緊急事態宣言によって、特に健常人サンプルの収集に遅れが出ている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)詳細な臨床情報を伴った癌部・非癌部のそろった口腔扁平上皮癌検体においてmiR-655発現を評価し臨床病理学的因子との相関性を検討する。(2)東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンターにて保有する、臨床情報を伴った口腔癌患者の血漿検体中の遊離miR-655を測定する。(1)(2)の施行のためにCOVID-19流行に伴う度重なる緊急事態宣言によって遅れている健常人サンプルの収集を速やかに行う。
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Causes of Carryover |
口腔がん細胞株でのEMT抑制能を検証するin vitro実験において仮説通りの結果が得られずに、その先に予定していたin vivo実験等の遅れ分の試薬費用等が繰り越されている。 東京医科歯科大学疾患疾患バイオリソースセンターで保有する検体における実験準備がCOVID-19による度重なる緊急事態宣言のために滞っている。癌部・非癌部のそろった口腔扁平上皮癌検体におけるmiR-655発現や、口腔癌患者の血漿検体中の遊離miR-655を測定するための試薬費用が繰り越されている。
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