2020 Fiscal Year Research-status Report
GPR34を介する疼痛発症メカニズムの多様性の解明
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19K24067
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐世 暁 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50849445)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / GPR34 / ミクログリア / マクロファージ / 肥満細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はG-Protein coupled receptor 34 (GPR34)と内因性のリガンドであるLysophosphatidylserine(LysoPS)に着目し、LysoPS/GPR34シグナルが神経障害性疼痛に関与していることを示した。一方、GPR34はミクログリア以外に粘膜下組織や結合組織内に存在する肥満細胞や腸管に存在するCD169陽性マクロファージに多く存在することが報告されている。本研究の目的はGPR34を介した神経障害性疼痛の増悪において、ミクログリア以外の経路の有無を評価するために、可能性のある経路をそれぞれ欠損させ、GPR34を介する疼痛発症のメカニズムの多様性を明らかにする。 前年度までにLysoPSをWTおよびGPR34KOマウスに髄腔内投与し、von Frey hair testによりGPR34KOマウスで疼痛が軽減することを確認した。本年度は肥満細胞欠損マウスを用いてLysoPS髄腔内投与後の疼痛をvon Frey hair testを用いて確認した。肥満細胞欠損マウスでは疼痛がわずかに軽減することが確認された。そこでLysoPS投与後のミクログリア、肥満細胞の組織学的動態の評価を実施した。LysoPSを髄腔内投与した後、ミクログリアマーカーであるIba1で脊髄後角のミクログリアを観察したところ明らかなミクログリアの数や形態の変化はなかった。投与後の脊髄後角とその周囲組織をトルイジンブルーで染色し評価したところ、脱顆粒の程度に違いがあったが有意なものではなかった。GPR34を介した疼痛の発症に肥満細胞が関与している可能性があるがことが示唆されたが、結果は有意なものではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の仮説に反して肥満細胞の疼痛の関与は限定的であった。この結果を支持するための追加の実験が必要となったため、当初の予定よりやや遅れた結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
疼痛発症のミクログリア、肥満細胞以外の経路の検索をvon Frey hair test、免疫組織化学染色を用いてすすめる。現状の研究を継続することを第一方策とする。
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Causes of Carryover |
当初の仮説に反したデータが出たため、その結果の再評価や条件検討に時間を要し、使用予定であった試薬を購入することが出来なかった。今後分子生物学的実験で難航が予想される。主にその消耗品に補填する予定である。
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