2020 Fiscal Year Research-status Report
Cftrをターゲットとした口腔乾燥症の新規薬物療法の開発
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19K24077
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
宗政 翔 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (40852489)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔乾燥症 / 糖尿病 / Cftr / 唾液腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者では、しばしば口腔乾燥症が合併し、唾液分泌量の低下による歯周病の増悪、義歯の装着困難などが歯科補綴治療に際し問題となる。そのため、口腔乾燥症の病態解明および治療法の確立が急がれている。申請者は、糖尿病モデルマウスの唾液分泌量が有意に減少しており、その一因が腺房細胞内Ca2+上昇の抑制であることを見出したが、導管細胞での水分泌への影響は明らかになっていない。 近年、全身の導管細胞に多く発現しているcystic fibrosis transmembrane conductance regulator (Cftr) 遺伝子の変異によって起こるCF患者で糖尿病が多く認められたことで、糖尿病とCftr遺伝子の関係性が発見されたが、口腔乾燥症との関連については十分な検討が加えられていないのが現状である。 今年度は、糖尿病モデルマウスであるKK-Ayを用いることで、糖尿病とCftrタンパクとの関連を明らかにすることを目的とする。さらに、Cftr増強薬が唾液泌機能の回復・増強に有効か評価することで、Cftr増強薬が口腔乾燥症の新規治療薬となりうるか検討する。 現在、Cftr増強薬であるIvacaftorを投与したマウスを用いてex vivo灌流実験を行うことで、唾液流量の測定およびサンプルの回収まで完了しており、今後はサンプル中の電解質およびタンパク質濃度を測定する。加えて、回収した唾液腺を用いて、ウエスタンブロットによるCftrタンパクの定量や組織学的解析を行う。さらに、唾液腺の分散細胞を用いたCa2+イメージングを併せて行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
siRNAによるCftrノックダウンラットモデルの使用を検討していたが、COVID-19の流行による研究の中断もあり、プロトコールの確立に至っていない。そのため、糖尿病モデルマウスであるKK-Ayを用いる実験系に計画を変更したため、実験の進捗状況が当初よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
唾液腺ex vivo灌流実験による唾液流量の測定およびサンプルの回収が完了しているため、そのサンプルを解析し、電解質およびタンパク質濃度を測定する。また、回収した唾液腺を用いて、ウエスタンブロットによるCftrタンパクの定量や組織学的解析を行う。さらに、唾液腺の分散細胞を用いたCa2+イメージングを併せて行う予定としている。
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Causes of Carryover |
当該年度では、COVID-19の感染拡大のため研究中断期間があり、予算計上した消耗品の購入を一部見送った。それに伴い、研究成果が当初の予定よりも得られなかったため、学会発表を見送っており、それらの経費を繰り越すこととした。今後、各種試薬等の消耗品や実験動物および学会での研究報告に使用予定である。
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