2021 Fiscal Year Annual Research Report
歯周疾患治療法の確立に向けたポリリン酸の抗炎症作用の解明
Project/Area Number |
19K24079
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
長谷川 実華子 (寺島実華子) 昭和大学, 歯学部, 助教 (00849408)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | ポリリン酸 / LPS / 炎症性サイトカイン / 抗炎症作用 / 歯周炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
リポ多糖(LPS)は、敗血症ショックなどの病態や歯周炎の発症に関与しており、医科領域と歯科領域に共通の重要な標的である。 本研究代表者らは、敗血症モデルマウスにおいて無機ポリリン酸(polyP)が、TNFα-JNK/p38経路を調節することでマクロファージの臓器への動員を阻害し、cox- 2を抑制することで抗炎症作用を示し、LPSによって引き起こされる多臓器機能不全および致死性から保護することを明らかにした。本研究では、敗血症と同様に LPSによって引き起こされる炎症性疾患であり、歯の喪失原因として重要である歯周炎に対してpolyPの抗炎症作用を応用し、歯周疾患治療法の研究基盤を構築することを目的としている。 血管内皮細胞は、血管透過性を制御することで生体恒常性を維持しており、その破綻はさまざまな疾患と密接に関連する。正常組織では血管透過性は内皮細胞間接着によって制御され低い状態に維持されているが、炎症が誘導されると炎症性サイトカインなどにより接着が弱まり血管透過性が亢進し、免疫細胞の血管外への移動や血漿成分の漏出が惹起されることが知られている。 臨床敗血症を正確に反映する盲腸結紮穿刺(CLP)腹膜炎のマウスモデルにおけるpolyP150の効果を調査したところ、polyP150による治療がCLP腹膜炎のマウスモデルの生存率を有意に改善することを示した。また、polyP150はCLPを介した肺血管透過性の増加を抑制し、ヒト血管内皮細胞であるHMEC-1細胞におけるpolyP150の前処理は、TNF-αが誘導する単球性THP-1細胞接着および細胞間接着分子1/CD54遺伝子発現の阻害を示した。これらの結果より、polyP150が細胞接着分子の発現と血管内皮における白血球の蓄積を阻害し、それによって血管透過性の増加を抑制することにより、致命的な敗血症を改善することが示唆された。
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