2019 Fiscal Year Research-status Report
地域医療ネットワークシステムを用いた、糖尿病の病態と歯科受診との関係の解明
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19K24080
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
鈴木 誠太郎 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (40843537)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 地域医療情報連携ネットワークシステム / 糖尿病 / 歯科受診 / 糖尿病性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国において、社会保障制度を維持していく上で、医療費の増大は非常に重要な問題とされている。これに対し、診療データを病院間で共有するシステムとして、「地域医療情報連携ネットワーク」がある。このシステムの特徴の一つとして、大量の患者データを迅速に収集することが可能である点が挙げられる。一方、基礎疾患の改善と歯科治療の関係として、入院患者の在院日数の減少や誤嚥性肺炎の発症予防など、医科歯科連携による効果が明らかになってきている。特に糖尿病は、歯周病との関連が指摘されるなど、歯科治療により、血糖値などの病態が改善する基礎疾患であることが、過去の研究により示唆されている。 そこで、本研究では、埼玉利根保健医療圏医療連携推進協議会の運営する地域医療情報連携ネットワークシステム「とねっと」のデータベースを使用し、歯科受診の有無によって糖尿病患者の病態に違いがあるかを明らかにすることにより、ITを活用した医科歯科連携システムによる医療の効率化の可能性を探ることを目的としている。2013年から2018年までの期間において、「とねっと」に登録されている医療機関の1つである、東埼玉総合病院の糖尿病外来を受診した患者を解析対象者とした。具体的な研究内容は、本データベースに格納されている情報を解析することにより、①HbA1cの変化、②糖尿病性腎症のステージ進行の違い、③尿蛋白の変化について、歯科受診の有無によって、違いがあるかどうかを解析する。 東埼玉総合病院から匿名化されたデータの提供を受ける前準備として、具体的なデータ解析項目や、データ抽出の実施体制の確認を行った。また、高性能のパソコンや解析用ソフトの購入など、提供されたデータの解析環境の整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画に基づき、解析環境の整備として、高性能PCの購入及び解析用ソフト等の購入を行った。また、データ提供元の病院との調整を行い、双方の倫理審査員会にて、本研究の実施について承認を得ている。しかしながら、倫理審査の承認を得る際、当初予定した期間よりも遅れが生じたこと、また新型コロナウイルスの感染拡大への対応により、データ提供元の病院側でのデータ抽出作業に遅れが生じていることから、2019年度中にデータの提供を受けることは困難な状況であった。したがって、実際に解析・研究成果の発表を行うのは、2020年度になる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画の予定よりも、データの提供が遅れているものの、現時点では2020年度の夏頃を目途にデータ抽出は完了する予定である。その後、提供されたデータを解析し、糖尿病患者での病態の変化が、過去の歯科受診の有無によって違いがあるかどうかについて、詳細な解析を行い、その後学会発表および論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、データ提供元の病院によるデータ抽出作業の開始が遅れていることから、データ抽出の際の人員への謝金の支出が生じなかったため。 繰り越しによって生じた次年度使用額は、当初の予定の通り、データ抽出に関わる人員への謝金として使用する予定である。
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