2019 Fiscal Year Research-status Report
HIF-2αによる象牙芽細胞分化制御の解明-iPS細胞を用いた歯胚発生への応用-
Project/Area Number |
19K24085
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 晴地 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (40850590)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | HIF-2α / 象牙芽細胞 / エナメル芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに歯の発生の分子制御に関する報告は多くなされてきたが、代表者は歯胚発生過程における低酸素の局在と低酸素誘導因子(HIF)の発現パターンを解析した。蕾状期から鐘状期を通して歯胚は低酸素環境にあり、HIF-1αとHIF-2αの発現が明らかになった。また、歯胚器官培養でHIF-2α阻害剤を作用させると、エナメル芽細胞分化の亢進および歯胚サイズの減少が示された。歯性上皮細胞株SF2でHIF-2α阻害剤を作用させるとエナメル芽細胞マーカーの亢進と増殖の低下が示された。以上よりHIF-2αが歯胚上皮の増殖および分化に関与していることを明らかにし、歯胚発生における低酸素反応の重要性を示した。さらに歯胚発生におけるHIF-2αの機能を解析するため、器官培養でHIF-2α阻害剤を作用させた歯胚における遺伝子発現の変化をRNA-seqにより解析した結果、象牙芽細胞マーカーの発現上昇が認められた。また、代表者らのグループは、マウスiPS細胞由来間葉細胞の樹立に成功したが、この細胞を用いた歯胚発生には至っていない。本研究では、歯性間葉細胞から象牙芽細胞への分化におけるHIF-2αの機能と分子機構を明らかにし、HIF-2αをiPS細胞から歯胚発生能をもつ歯性間葉細胞の樹立に応用することを目的とする。本年度は、RNA-seq結果からHIF-2α阻害により発現減少が認められた遺伝子に着目し、マウス胎仔の歯胚組織切片上でin situ hybridizationによりこれらの遺伝子発現を解析した。また、歯の発生は上皮細胞と間葉細胞の相互作用により行われるため、歯性上皮細株SF2を用いて低酸素およびHIF-2α阻害による増殖および分化への影響をリアルタイムPCRにより解析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯の発生過程におけるHIF-2α阻害および低酸素環境によるエナメル芽細胞分化および増殖への影響を解析できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
器官培養でHIF-2α阻害剤を作用させた歯胚における遺伝子発現の変化があった因子に着目する。歯性上皮細胞および歯性間葉細胞においてHIF-2α阻害剤を添加してHIF-2αの下流因子候補の発現解析をリアルタイムPCRにて行う。また、それらの因子の過剰発現およびノックダウンを行い、象牙芽細胞分化およびエナメル芽細胞分化への影響を解析する。
|
Causes of Carryover |
本年度の細胞培養条件の確立に当初の予定より多くの時間を要し、次年度も継続的に細胞培養実験を行う必要があるため。
|