2020 Fiscal Year Annual Research Report
がん幹細胞を標的とした口腔がんの放射線増感戦略の基盤構築
Project/Area Number |
19K24086
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小野里 祐佑 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (10844300)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度では,がん幹細胞マーカーであるpsf1のプロモーターをGFPに繋げた融合タンパク質を口腔癌細胞株SASへ導入し、スフェロイドを作成して実験を進めた。X線に対して上述したモデルを使用する予定であったが、イスラエルで開発されたα線源を用いた小線源治療の治験が報告者の所属する分野で行われることとなり、その基礎研究としてα線源を利用することが可能になった。昨年度は、α線に対する効果を検討することとした。 まず、細胞周期を可視化できるFucciを導入したHeLa細胞を用いて、α線源による細胞動態、特にG2アレスト動態の解析を行なった。α線源は直径0.7mmの円柱状であるため、作製したリングをディッシュ底面に設置して線源を固定し、タイムラプスイメージングを行なった。その結果、線源設置後24時間で線源周囲の細胞の大半にG2アレストが認められた。その後興味深いことに、線源から離れた細胞群にはG2アレストの持続が見られたが、線源近傍の細胞の大半は死滅した。α線源の治験の前臨床試験からα線源の腫瘍殺傷効果が明らかになっており、本実験からも線源からの距離が細胞周期動態に関係していることが分かった。これらの結果を踏まえスフェロイドを作製し、共焦点顕微鏡を用いて観察した。ダミー線源とα線源を比較したところ、α線源はmonolayerとほぼ同じタイミングでG2アレストのピークを迎え、線源設置後120時間程度でスフェロイドの一部崩壊が観察された。これによりスフェロイドにおいてもα線の殺細胞効果をlive imagingにて検証することができた。報告者が所属する研究室では、放射線照射後にM期を経る時に生じる微小核を検出する技術を有しており、これによって放射線感受性を求めることができる。この技術を利用すれば、α線に対する放射線感受性を求められるので、今後、psf1の影響を検討する予定である。
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