2019 Fiscal Year Research-status Report
細菌付着を減弱するジフテリア菌表層糖脂質誘導体を用いたバイオフィルム制御剤の開発
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19K24087
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長谷川 泰輔 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (80844472)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ジフテリア菌表層糖脂質誘導体 / バイオフィルム / 表面性状 / 細菌付着 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジフテリア菌表層糖脂質(TDCM)をリード化合物として合成されたビザンチン存在下で作製したStreptococcus mutansバイオフィルムは、軽微な機械的刺激でバイオフィルム構造が崩壊することを報告した。それは、付着関連遺伝子およびバイオフィルム形成関連遺伝子に影響を与えることによるバイオフィルム構造の安定性が低下することによることが明らかとなっている。本研究の目的は細菌付着を減弱し、バイオフィルム除去効果を高めるビザンチンを歯面コーティング剤として応用したときの抗バイオフィルム効果を検証することである。 ビザンチン処理をしたハイドロキシアパタイト(HA)ディスクをフローセル培養系に装着し、口腔細菌を用いてバイオフィルムを形成させた。LIVE/DEAD染色を用いた蛍光イメージング法やSEM、定量的細菌測定で解析した。その結果、ビザンチン処理をしたHAディスク上では細菌付着が抑制され、応力後のバイオフィルムの残存量に減少がみられた。HA上のビザンチンは口腔細菌の付着に影響を与えることで、バイオフィルム構造が崩壊することが示唆された。また、細菌付着の抑制の結果を得て、デンタルバイオフィルム形成過程における初期付着菌群に対する抗バイオフィルム効果について検証を行った。ビザンチンは菌種非特異的に表面性状を変化させると共に、付着関連遺伝子にも影響を与えることが分かった。ラットカリエスモデルを用いたビザンチンの抗バイオフィルム効果については動物実験計画の申請を行い、許可を得たため、実験開始準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ex vivoモデル上での抗バイオフィルム因子の解析に時間を要している。 その過程で、in vitro上でのバイオフィルム形成過程における初期付着細菌の付着関連因子および表面性状の変化について解析を行った。その結果菌種非特異的に菌体表面性状を変化させただけでなく、付着関連遺伝子にも影響を与えていることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
ビザンチンの抗バイオフィルム効果について動物実験を進めつつ、ex vivo モデルにおけるう蝕関連細菌および初期付着菌群の付着関連因子について検索を行っていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初購入予定であった培地、器具および遺伝子解析試薬について学内共同機器および試薬として使用が可能であったため支出が抑えられた。また、若干実験の予定が計画より遅れているため、細菌叢解析を行っていないため、支出が少なかったことが挙げられるが、今後行う予定である。 (使用計画) 細菌叢解析を行う予定であり、動物実験を行うにあたり、歯科用拡大鏡の購入を予定している。なお、得られた研究成果を報告するための論文報告費用・学会発表費用としても使用する予定である。
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Research Products
(4 results)