2019 Fiscal Year Research-status Report
病的活性化破骨細胞に発現する膜表面分子を標的とした病的骨破壊特異的制御法の開発
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19K24098
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久本 由香里 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40729026)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 骨破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はマウス骨髄由来培養破骨細胞を用いて、IL-1βにより発現が誘導される遺伝子の探索を行った。マウス骨髄細胞にRANKLを曝露することにより破骨細胞への分化誘導を行うが、同時に0.5 ng/mLのIL-1βも曝露した。48時間後、IL-1β曝露群およびの培養破骨細胞からtotal RNAを回収し、マイクロアレイによって2群間の遺伝子発現変化を網羅的に解析した。その結果、いくつかの遺伝子の発現がIL-1β曝露群で大きく上昇または低下していることが判明した。同じサンプルを用いて、特に発現上昇の大きかった2つの遺伝子(A・B)についてリアルタイムPCR法によりのmRNA発現を確認した結果、マイクロアレイの結果と同様にIL-1β曝露群で発現の上昇が確認できた。このとき、破骨細胞マーカーや骨吸収に関与する既知の遺伝子の発現に有意な差は認められなかった。以上の結果から、遺伝子A・Bは未知のメカニズムにより破骨細胞による骨吸収能を亢進させる可能性が示唆される。 現在、破骨細胞の骨吸収能における遺伝子A・Bの機能について解析を進めるために、レンチウイルスを用いた遺伝子過剰発現系の条件検討や必要な発現ベクター等の作成を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養破骨細胞において、目的遺伝子を発現させるための発現ベクターの作成に予定以上の時間を費やしてしまい、本年度中に実験に使用するまでに至らなかった。レンチウイルスを用いた遺伝子過剰発現の条件検討等も現在行っている段階であり、準備が整い次第より詳細な解析に着手する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在準備中の培養破骨細胞における遺伝子過剰発現系の解析を遂行することにより、破骨細胞を病的に活性化させる遺伝子の特定とその機能および詳細な分子メカニズムを明らかにする。これと並行して、骨破壊モデルマウスを用いたin vivo解析にも着手し、骨破壊の進行度とIL-1βの血中濃度および骨破壊病変部位における同定遺伝子の発現量との相関性を評価する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、①培養破骨細胞における遺伝子過剰発現系の解析に本格的に着手できなかったため、②IL-1βにより誘導される分子について、質量分析による解析が行えていないため、②3月に参加を予定していた学会が新型コロナウイルスの影響で中止になったためである。 従って、生じた次年度使用額は、遺伝子過剰発現系の解析に必要な備品や試薬の購入、質量分析の受託解析に使用する予定である。
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