2021 Fiscal Year Annual Research Report
Porphyromonas salivosa線毛の分類と伝播の可能性に関する研究
Project/Area Number |
19K24108
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
稲葉 啓太郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (10847883)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | Porphyromonas salivosa / Porphyromonas macacae / fimbriae |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis の菌体表面に存在する線毛は、口腔上皮細胞への付着と侵入に関与し、歯周組織破壊に関与することが知られている。また、ヒトのう蝕原性細菌Streptococcus mutansの伝播は、親密な間柄で生じることが報告されている。しかし、国内外において、ヒトとコンパニオンアニマルとの歯周病関連細菌の伝播に関する研究は少ない。そこで、ネコの歯周病原細菌であるPorphyromonas salivosa (macacae) と口腔内定着因子である線毛に着目し、ヒト口腔内細胞への定着、ヒト口腔への伝播の可能性および歯周疾患発症原因を明らかにすることを目的とした。 P. macacae ATCC 33141株を超音波で処理して線毛を菌体表面から剥離、40% 硫安により粗線毛を分画し、DEAE sepharose CL-6B 陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製を行った。フロイント不完全アジュバントを混合した精製タンパク質を抗原として、BALB/c マウスに複数回接種を行い、ポリクロナール抗体を作製した。ポリクロナール抗体を用いて、菌コロイド法による電子顕微鏡観察、Western blot 法によるPorphyromonas属細菌間での抗原性の違いを比較を行った。また、菌種間のヒト細胞への付着性を検討するため、ヒト歯肉上皮細胞へPorphyromonas属細菌を60分間作用させて洗浄後、細胞に付着している細菌数を測定した。 今後、精製タンパク質の病原性を比較するため、マウスマクロファージを用いて破骨細胞分化誘導とサイトカイン産生誘導を行い、歯周病の病原因子となりうる可能性について検討した。また、細種間および菌株間における線毛タンパク質の比較をするため、線毛タンパク質を精製し、分子量や抗原性の違いによる相違を検討する。
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