2019 Fiscal Year Research-status Report
歯髄炎におけるマイクロRNAクラスターの炎症制御および組織修復における機能解析
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19K24113
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
奈良 圭介 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (00844333)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | miRNA / 歯髄炎 / 炎症抑制 / 組織修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歯髄炎におけるmiRNAの動態を包括的に解析し、歯髄炎の進展および治癒・再生プロセスを調節するmiRNAをスクリーニングし、その結果を臨床に応用することである。申請者は、miR-21が歯髄炎の進展に係る因子の一部を抑制し、象牙質修復に係る因子を促進することで、歯髄炎において治癒を誘導する因子の一つとして機能していることを明らかにした。しかし、炎症性細胞浸潤の抑制や象牙芽細胞分化促進などの修復機転にはmiR-21以外のmiRNAも関与している可能性、すなわち複数のmiRNAがクラスターとして機能し、複雑な遺伝子発現を同時に制御していると思われる。炎症で発現が促進されるmiRNAの動態や機能を包括的に検討することで、炎症と組織再生のクロストークの仕組みの解明につながると期待できる。 リポ多糖で刺激したヒト歯髄細胞において発現が増加するmiRNAについて、miRNAアレイにて網羅的解析を行い、miR-21以外に炎症性サイトカイン産生制御に関わるmiRNAをスクリーニングした結果、miR-146bが候補として浮上した。miR-146bは、THP-1細胞や樹状細胞において、リポ多糖刺激後、miR-21と同様に炎症を制御する可能性が高い。すなわち、炎症制御miRNAクラスターの一員と思われる。まずは、炎症における代表的な転写調節因子であるNFκBシグナルを介して発現が誘導されるかを確認し、次にNFκBシグナルの抑制効果について検討する。NFκBシグナルがmiR-146bにより抑制された場合には、そのメカニズムの解明を図る。miR-146bは、miR-21と協働してクラスターを構成している可能性について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進行しているが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、研究の中断を余儀なくされており、当初の予定よりも若干の遅延がみられている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、LPS刺激ヒト歯髄細胞におけるmiR-146bの発現動態、発現に関わるシグナルをRT-PCR、ELISAおよびWestern Blottingにより解析し、miRNAターゲット遺伝子解析ソフトであるTargetScan等にてmiR-146bのターゲット遺伝子を解析する。さらに、miR-146bのmimicをトランスフェクションしてmiR-146b強制発現細胞を作成し、LPS刺激で誘導される炎症性サイトカイン発現や炎症関連シグナルカスケードへの抑制効果を検討する。また、miR-21と協働して炎症制御機能が増強するかについても検討を進め、治癒反応誘導作用の一環として、石灰化結節形成、ALP活性、硬組織マーカー発現誘導効果について検討する計画である。
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Causes of Carryover |
実験に必要な細胞培養を維持するための培養液やディッシュなどの消耗品や、RT-PCR、ELISAおよびWestern Blottingの解析を行うための実験試薬を使用する予定である。
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