2019 Fiscal Year Research-status Report
The elucidation of change of oral ecosystem including dynamics of microbiome by orthodontic treatment and building a new prevention system
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19K24121
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
角 伊三武 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (50846847)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | カリエスリスク判定 |
Outline of Annual Research Achievements |
矯正歯科治療中に生じる医原性の障害として、う蝕・歯周病等の細菌感染が挙げられる。我々は次世代シークエンサーを用いて、口腔内に生息する全ての細菌種を対象とし、矯正歯科治療による口腔内細菌叢の変化について解析を重ねてきた。これまでの検討において我々は、矯正歯科装置の装着により、嫌気性菌を中心とした歯周病原因菌がその割合を増加させることを明らかにした。しかしながら、矯正歯科治療中の長期的な細菌叢変化や、不正咬合の種類による細菌叢の差異は未だ不明である。そこで我々は、菌叢解析を継続しつつ、患者の臨床パラメーターを含む長期的なデータ収集を行い、矯正歯科治療によって生じる医原性障害の予測とその予防システムを確立することを最終目標とした。 本年度は、従来より当院矯正歯科にて行ってきた唾液検査のデータ解析を行った。刺激時唾液を採取し検査することで患者のカリエスリスクを把握し、口腔衛生管理の指標とするものであるが、カリエス予防に必須な検査項目の絞り込みまでには至っていない。619名分のデータを解析した結果、年齢との関係において、唾液分泌量・ミュータンス菌数では正の相関が認められ、プラークコントロールレコード (PCR)・唾液pH・唾液緩衝能では負の相関が認められた。性別との関係において、男性は女性よりもPCR・唾液pH・唾液緩衝能・唾液分泌量が有意に高く、女性は男性よりもミュータンス菌数とカリエスリスク度が有意に高かった。また、唾液流出量が多いことはう蝕の予防に有利であることが知られているが、骨格性下顎前突の傾向を示す患者では分泌量が少ないことも明らかとなった。このように、年齢や性別だけでなく、顎骨格などの患者の個別的特徴によってもう蝕罹患のリスクは変動しており、さらなる研究の継続が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、カリエスリスク判定のための唾液検査のデータ収集および解析を行うことで、年齢、性別その他の因子による傾向が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、唾液検査や患者の臨床パラメータ収集を継続していく。また、次世代シークエンサーを使用した患者の口腔内細菌叢解析についても行う予定である。これらの継続的に収集したデータから、患者毎にリスク判定を行うために必要な指標を決定する。菌叢解析のための臨床サンプル回収については、臨床現場の協力体制の構築に時間を要しているため、可及的速やかに回収を開始とする。
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Causes of Carryover |
使用予定額の多くは、次世代シークエンスのために必要な試薬やキット代金として計上していたが、臨床サンプルの回収が予想よりも遅れているため、前年度の未使用が生じた。 次年度はシークエンス試薬購入を予定している。
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