2019 Fiscal Year Research-status Report
TNF-α短期刺激による骨髄由来間葉系細胞の動態解析
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19K24122
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
成谷 美緒 徳島大学, 病院, 診療支援医師 (70761427)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | TNF-α / 骨髄由来間葉系細胞 / 短期刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
5~6週齢Sprague-Dawleyラット大腿骨・脛骨から骨髄細胞を採取し,10%FBS含有α-MEM培地にて細胞培養を行った。培養中の60%コンフルエント時にリコンビナントラットTNF-α(rTNF-α)を1~100 ng/ml添加し2日間培養した後,継代しrTNF-αを培地中から完全に除去したものをTNF-α刺激群とした。同様の培養工程にて,rTNF-α刺激を行わなかったものをコントロール群とした。 これら各濃度のTNF-α短期刺激による細胞動態の評価として、各刺激群およびコントロール群に対してそれぞれ細胞形態、コロニー形成能、細胞増殖能、アポトーシス細胞数の検討を行った。rTNF-α1,10 ng/ml刺激群において,コントロール群と比較して細胞形態や細胞増殖能について差は認めなかった。rTNF-α50,100 ng/ml刺激群では,他群と比較して刺激2日後にアポトーシスした細胞が有意に増加し,その後の細胞増殖能においては有意に低い値を示した。これらの結果より,骨髄細胞へのrTNF-α刺激には至適濃度が存在し,rTNF-α1,10 ng/mlによる短期刺激は骨髄細胞の形態および増殖に影響を及ぼさないことが示された。 現在は各群における幹細胞特性をReal time RT-PCR、免疫染色にて解析を行い、rTNF-α短期刺激による骨髄細胞の未分化性への影響を検討中である。なお、本実験は徳島大学動物実験委員会(承認番号:T27-79号)の承認を得た上で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞培養のため初代培養細胞を採取するためには、本学の動物実験計画書の承認を受ける必要があった。また、骨髄細胞に短期刺激を行うためのTNF-αの適正濃度決定について、検討する項目が多く、研究を軌道にのせるために時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様にSDラットより採取した骨髄細胞を用いてコントロール群およびrTNF-α1~100ng/ml刺激群を実験対象とする。 また、骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、神経細胞の分化誘導培地に置き換えて培養する。これらのコントロ ール群と刺激群の細胞動態の評価として、各分化誘導培地に置換後の細胞分化能および幹細胞特性をReal time RT-PCR、免疫染色、フローサイトメトリーにて比較検討を行う。 骨髄細胞においても、歯髄細胞と同様にTNF-α刺激による幹細胞特性(未分化能)の再獲得が認められれば、将来的に新規培養技術の開発へと発展できる可能性があると考えている。 高齢者から採取された骨髄細胞が持つ幹細胞特性や分化能、増殖能は若年の骨髄細胞を と比較して低下していることが報告されている。高齢ラットから採取した骨髄細胞を用いてTNF-α短期刺激を行い細胞動態を解析することで、 老化した骨髄細胞へのTNF-αの効果を検討する。5~6週齢ラットの骨髄細胞において検討した刺激濃度をもとに、高齢ラット由来骨髄細胞に対するTNF-α短期刺激の至適濃度の検討を行う。
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Causes of Carryover |
今年度行った研究の一部については、研究室に既存の材料や試薬で実験が可能であったため、次年度使用額が生じた。 次年度については抗体や分化誘導培地作製に必要な試薬、解析に必要な機器の使用費などに経費を用いる予定である。
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