2020 Fiscal Year Research-status Report
機械的舌清掃が舌マイクロバイオームの細菌構成に与える影響の科学的根拠の確立
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19K24123
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
朝川 美加李 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90852583)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 舌マイクロバイオーム / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、機械的舌清掃が舌マイクロバイオームの細菌構成に与える影響について検討を開始した。一部の対象者に対して機械的舌清掃を行い、舌清掃前後においてそれぞれ舌苔検体を採取した。採取した舌苔検体から細菌DNAを抽出し、細菌共通配列プライマーを用いて16S rRNA遺伝子のV1-V2領域をPCRにて網羅的に増幅後、次世代シークエンサーIon PGMを用いて増幅断片の塩基配列を解読した。その後、解読された塩基配列をもとに各対象者の舌マイクロバイオームの細菌構成を明らかにした。舌マイクロバイオーム解析の結果、極度に舌苔が付着した高齢者における機械的舌清掃前の舌マイクロバイオームの細菌構成は、Actinomyces属やActinobacteria門などの嫌気性菌が優勢であった。一方で、機械的舌清掃後の舌マイクロバイオームの細菌構成は、Streptococcus属やRothia属などの好気性菌や通性嫌気性菌が優勢となっており、機械的舌清掃前後での明らかな舌細菌構成の変化を確認した。また、菌種多様性に関しては、機械的舌清掃前後において大きな変化は認められなかった。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、高齢者施設への訪問が制限され、当初予定していた対象者の確保が難しくなったことから、対象者の再選定を行った。高齢者施設への訪問許可がおり検体採取再開の目処が立ったため、残りの対象高齢者に対する機械的舌清掃および舌苔検体採取の日程調整および細菌叢解析の準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は一部の対象者において機械的清掃前後の細菌構成の変化を確認することができた。一方で、新型コロナウイルス流行の影響により高齢者施設への訪問が制限され、予定していた対象者の機械的舌清掃および舌清掃前後の舌苔検体採取の中断を余儀なくされている状況であったため、達成度としては「遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で高齢者施設への訪問が許可されたため、全対象者に対する機械的舌清掃および舌清掃前後の舌苔検体採取を完了し、細菌DNAを抽出したのちに定量PCR法および次世代シークエンサーを用いた細菌群衆解析を進める。さらに得られたデータを用いて、機械的舌清掃前後での視覚的な舌苔付着状態の変化や総菌量の変化、および細菌構成の変化についての詳細な解析を進める。
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Causes of Carryover |
今年度、全対象者から採取した舌苔検体の次世代シークエンサーを用いた細菌群衆解析を行う予定であったが、検体採取が中断していたため、次年度行う予定である。
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Research Products
(1 results)