2021 Fiscal Year Research-status Report
機械的舌清掃が舌マイクロバイオームの細菌構成に与える影響の科学的根拠の確立
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19K24123
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
朝川 美加李 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90852583)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者 / 舌マイクロバイオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、対象となる高齢者の再選定および高齢者施設での機械的舌清掃、舌苔検体採取を予定していたが、昨年度から続いている新型コロナウイルス感染拡大の影響により高齢者施設への訪問制限が継続されたため、対象高齢者に対する機械的舌清掃および検体採取を実施することができなかった。口腔清掃が舌マイクロバイオームの細菌構成に与える影響を検討するために、通所サービスを利用している85歳以上の在宅高齢者112名の舌苔検体の解析を実施した。舌苔検体はビーズ粉砕法を用いて細菌DNAを抽出し、細菌共通配列プライマーを用いて16S rRNA遺伝子のV1-V2領域をPCRにて網羅的に増幅後、次世代シークエンサーIon PGMを用いて増幅断片の塩基配列を解読した。その後、解読された塩基配列をもとに対象者の舌マイクロバイオームの細菌構成を明らかにした。また、定量PCR法を用いて単位面積あたりの総細菌量および総真菌量を測定した。クラスター解析の結果、対象者の舌細菌叢はPrevotellaやVeillonellaなどが優勢なタイプ1(n=75)とNeisseriaやFusobacteriumなどが優勢なタイプ2(n=37)に分類され、タイプ1の対象者はタイプ2の対象者に比べ、年齢が有意に高く、菌種多様性が有意に低く、総真菌数が有意に多かった。タイプ1において優勢であった菌種の総構成比率は、歯科専門職による口腔ケアを全く受けていない者と比較して、週1回以上受けている者において有意に低かった。以上より、歯科専門職による週1回以上の口腔ケアが、肺炎関連死亡との関連が示唆されているタイプ1において優勢な細菌種の構成比率を低下させる可能性があることが示唆された。現在は次年度の高齢者施設での調査再開に向けて、直ちにサンプル採取が実施できるよう準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響により昨年度から延期が続いていた高齢者施設への訪問および対象高齢者に対する機械的舌清掃および検体採取の実施が再び実施困難な状況が続いたため、達成度としては「遅れている」 と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
調査再開の目処が立ち次第、直ちにサンプル採取が実施できるよう準備を進める。調査実施後は、採取した舌苔検体を用いて細菌叢解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、高齢者施設での調査が延期になっているため、調査再開後に検体採取の際の人件費や次世代シークエンサーを用いた細菌叢解析に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)