2020 Fiscal Year Research-status Report
高密度培養と細胞塊培養を併用したヒト歯髄幹細胞の硬組織形成細胞への効率的分化誘導
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19K24136
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野田 園子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (70844322)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 高密度培養 / 細胞塊培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯内・歯周領域において、失われた骨組織を修復する治療方法の確立が期待されている。歯槽骨再生においては、欠損部に間葉系幹細胞を移植し、硬組織をより効率的に誘導する試みも開始されている。この際、成長因子や化学物質を用いて幹細胞を硬組織形成細胞へ分化誘導した上で移植を行うのが一般的である。さらに細胞移植の担体としてスキャフォールドを使用する。しかし、移植後のアレルギー反応を含む炎症反応が惹起される可能性を排除するためには、化学物質を使用せず、担体無しで幹細胞を移植することが望ましい。本研究課題において本年は、前年度に引き続き、歯髄、歯肉、歯根膜、および歯小嚢から幹細胞を分離し、どの組織由来の幹細胞を使用すべきか検討している。歯肉由来幹細胞は採取に抜歯が不要であるため期待されたが、硬組織分化傾向が弱いため、硬組織分化傾向のみやすい歯髄由来幹細胞を用いて実験を行った。高密度培養後に細胞塊培養を行っているが、継代をすすめた細胞で行う場合には増殖が悪いため、細胞塊培養が困難であることが判明した。また、継代数がどの程度まで使用できるかを調べるために遺伝子発現を確認すると、継代をすすめるにつれて呼吸系のインターナルコントロール遺伝子であるGAPDHの発現が低下することが確認された。呼吸や代謝が低下すると硬組織分化にどのように影響を及ぼすか、今後検討する予定である。また、本年はマウスへの移植実験を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、実験制限があったこと、また、細胞培養に使用するプラスチック製品およびグローブ等の実験に必須な機材の流通低下の影響を受け、動物実験を行うことができなかった。感染症の影響が緩和し次第、着手していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、大学内における実験制限があったこと、また、細胞培養に使用するプラスチック製品およびグローブ等の実験に必須な機材の流通低下の影響を受け、動物実験を行うことができなかった。感染症の影響が緩和し次第、着手していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の影響が緩和し、大学内で2カ月程度のマウス飼育実験が可能になった段階で、高密度・細胞塊培養での硬組織形成能の評価を行うために動物実験を行いたいと考えている。また、それまでの間に、継代数による代謝の低下が硬組織形成細胞分化に与える影響について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で実験に大幅な遅延が生じたため。
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