2019 Fiscal Year Research-status Report
コレステロール代謝の修飾によるCD8+T細胞の抗腫瘍活性の増強効果の解明
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19K24148
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三島 健史 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (70848473)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 免疫治療 / LAK細胞 / ステロール代謝 / 免疫チェックポイント分子 / PD-1 / Zoledronic Acid / 顎骨壊死 |
Outline of Annual Research Achievements |
成分の明らかな無血清培養系を用いて様々なコレステロール合成阻害剤を添加し誘導したLAK細胞の細胞障害活性を放射性クロム遊離試験で評価し,各LAK細胞における免疫チェックポイント分子(PD-1遺伝子)発現を定量PCR法で検討した. Lovastatin,AY9944およびTriparanolは, LAK細胞の細胞障害活性の誘導を濃度依存的に抑制した. また, Zoledronic acidは1~5μMの低濃度では細胞障害活性を増強したが,高濃度では抑制した.さらに,コレステロール合成経路の上流を阻害するLovastatinやZoledronic acidと比較し,コレステロール合成の最終酵素である7-Dehydrocholesterol reductaseを阻害するAY9944や, Desmosterol reductase を阻害するTriparanolは,LAK細胞の細胞障害活性の誘導を強く抑制した.さらに,Lovastatin,Zoledronic acid,AY9944ならびにTriparanolはPD-1遺伝子発現を亢進した. これらの結果は, LAK細胞の細胞障害活性の誘導にはLAK細胞のコレステロール量が関与していること,さらに細胞の疲弊マーカーであるPD-1分子発現機序についてコレステロール代謝が関与していることが示唆された. コレステロール合成阻害剤はLAK細胞の細胞障害活性の誘導を抑制し,LAK細胞におけるPD-1遺伝子発現を亢進したことから,癌免疫におけるコレステロール代謝の重要性が示唆された.LAK細胞の細胞内コレステロール量を増加させるためにコレステロール代謝の制御,外部環境からのコレステロールの流入増加,外部環境への流出減少も併せてを検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LAK細胞の細胞障害活性はコレステロール代謝を修飾することによって制御されているという仮説に対して,コレステロール合成阻害剤はLAK細胞の細胞障害活性の誘導を抑制し,LAK細胞におけるPD-1遺伝子発現を亢進したことから,癌免疫におけるステロール代謝の重要性が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,コレステロール合成阻害剤(Lovastatin,Zoledronic acid,AY9944 ,Triparanol)のLAK細胞の脂質合成能に及ぼす影響を[2-14C]acetateの各脂質画分への取り込みを指標として検討する. また,誘導したLAK細胞からCD8+T細胞の分画をセルソーターにて分離し,同様の結果が得られるか検討する.
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Causes of Carryover |
コロナの影響により,アメリカからのアイソトープと輸入制限が生じ実験を中断せざる得なかったため次年度使用額が生じた. また、次年度はLAK細胞の脂質合成能に及ぼす影響を [2-14C]acetateの各脂質画分への取り込みを指標として検討する。実験1で誘導したCD8+T細胞の脂質をBrigh & Dyer法にて抽出し,薄層クロマトグラフィにて分離し,取り込まれた放射活性を液体シンチレーションカウンターを用いて測定し検討する. そのため,アイソトープの購入及びクロマトグラフィに使用する溶剤,物品の購入を予定している.さらに,学会への参加も検討している。
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